研究課題/領域番号 |
22K13712
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研究機関 | 神奈川大学 |
研究代表者 |
澤口 哲弥 神奈川大学, 国際日本学部, 教授 (50894193)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 国語科CR / 授業メソッド / 高等学校 / 社会への接続 |
研究実績の概要 |
現場での実践に活かすメソッド構築という目的から、高等学校の教諭(三重県高等学校国語教育研究会)に研究協力を依頼し、プロジェクトチームを組んで研究に臨んだ。 まずは、国語科CRの実態を調査するべく、6月から7月にかけて教員・生徒を対象とした意識実態調査、および国語科CRの目指す学力にもとづいたアセスメントテストを実施した。結果として、授業が授業者によって主導されていること、また、学習者が問いを立てること、社会への接続を意識すること、テクストを多角的に批評することなどCRを形成するための学習活動が十分行われていないことなどがわかった。アセスメントでは、情報を統合して図化すること、問いを立てること、社会に関連づけること(転移)など多くの項目で十分な学力が身についていないことが明らかになった。成果と課題は、全国大学国語教育学会(第143回大会・千葉)において口頭発表した。 次に、メソッドの構想にもとづく研究授業(予備調査)を、研究協力者の協力を得て、三重県の公立高等学校2校で9月、1月の2回それぞれ実施した。単元の授業(4~5時間)すべてにおいて研究者が授業を観察し、授業者と連日協議を重ねながら授業の修正を図った。授業者にとって不慣れな授業形態であったこと、また学習者にとっても今まで取り組んだことのない学習活動であったこともあり、目標とした成果は十分には得られなかった。しかし、授業後の、授業者へのインタビュー、また生徒対象のアンケートでは好意的な反応が見られ、国語科CRの読解プロセスの有効性を見いだすことができた。成果と課題については全国大学国語教育学会(第144回大会・島根)で口頭発表予定である。 研究の進行については、定期的(6月、8月、12月、3月)に研究協力者とのミーティング(理論検討、模擬授業、指導案検討、実践発表等)を実施し、理論の定着、軌道修正を図った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究協力者の委嘱、意識・実態調査の実施、研究協力者とのミーティングの実施(4回)、研究授業(予備調査)の実施(2回)、成果と課題の学会での口頭発表、研究紀要への掲載など、初年度に計画を立てた研究活動についてはおおむね予定どおり遂行することができた。また、これらによって、国語科CRメソッドの可能性と課題を確認することができた。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度に検証した国語科CRの読解プロセスに加え、2023年度はことばを多角的に読み解くフレームワークについての可能性を模索する。そのため、1~2回程度の研究授業(本調査)を実施し、2022年度と同じように成果と課題を明らかにしていく。また、これらと並行して、研究協力者によって小グループを構成し、国語科CRメソッドを活かすことができる自主教材(小説、評論、詩)を開発する。 国語科CRメソッドのより具体的な文章化については、これまでの研究の成果と課題を踏まえながら着手し、2024年度に完成を目指すガイドブックのプロトタイプを2023年度末を目処に作成する。 研究協力者と意思疎通を図り、チームとして新しい実践メソッドを創るという一体感が得られるよう努める。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究協力者との打ち合わせの回数が流動的なため、ぎりぎりまでゆとりを持たせておいたが、結果的に使いきらなかった。次年度は、2022年度同様、打ち合わせ等のための旅費として使用予定である。
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