研究課題/領域番号 |
22K13715
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研究機関 | 社会構想大学院大学 |
研究代表者 |
松本 朱実 社会構想大学院大学, 先端教育研究所, 特任教授 (40836566)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | SDGs / ESD / 連携協働 / プログラムデザイン / 評価 / 動物園教育 / 水族館教育 |
研究実績の概要 |
国内の動物園、水族館、博物館での持続可能性に向けた教育や活動について、現地調査をおこなった。富山市ファミリーパーク、沖縄美ら海水族館、ネオパークオキナワ、東南植物楽園、国立アイヌ民族博物館、円山動物園、九十九島動植物園(森きらら)、九十九島水族館(海きらら)にて、教育担当者に聞き取り調査を行った。富山市ファミリーパークでは、村井園長や教育担当職員に市民と協働した里山保全や生命に関わるイベントなどの取り組みの情報を伺った。沖縄美ら海水族館では全国の院内学級の子どもたち向けのオンライン動物教室の普及の広がりについて伺った。九十九島動植物園では、職員向けの教育プログラムデザインと評価に関わる勉強会をおこなった。九十九島水族館では、漂着したプラスチックゴミをリサイクルした製品開発とその売り上げや利用者の関心の高まりについての情報を得た。 上記などのSDGsに向けた教育の取り組みの調査結果について、(公社)日本動物園水族館協会2022年度通常総会において課題講演(題目「国内の動物園、水族館におけるSDGsの取り組みと展望」)をおこなった。国内の園館長が聴講し、その後意見交換をおこなった。 ESDに関わる学社連携のプログラムデザインと評価を研究し、共同研究者と共著で、学会や研究会で発表した。屠体給餌のイベントを通じた大学生向けの教育プログラムの評価についてを、野生生物と社会学会第27回大会で発表した。また、小学校の生活科と関連付けたモルモットを介した連携授業のデザインとプログラムについて、日本動物園水族館協会第70回動物園水族館技術者研究会で発表した。後者の研究については、公益財団法人横浜市緑の協会発行の動物園研究会報に論文を掲載した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ渦の影響や研究者や職員の物理的な事情(時間など)による
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今後の研究の推進方策 |
複数の動物園・水族館と協働して、ESDプログラムのデザインと評価研究をおこなっていく。すでに天王寺動物園、豊橋総合動植物公園、アクアマリンふくしまと、共同研究の締結をおこない、具体的な計画段階に入っている。このほかに、大牟田市動物園と盛岡市動物公園ZOOMOでのESDプログラムの評価を継続しておこなう。各園館の特徴を生かし、目標を明確化させて、SDGs、動物福祉、Wellbeing、エージェンシーなどを評価の視点に入れて学習論に基づき検討する。学習者(来園者)や教育に関わるあらゆる主体と共に評価する方法を検討していく。 複数の動物園水族館で、共通するESDプログラムのテーマがあるので、汎用的な評価の枠組みも検討する。たとえば、小動物の直接体験や観察を通した教育や、猛禽類などの野生生物保全のプログラム、そして動物や人々のWellBeingを考え関わるプログラムなどである。動物園水族館、学校、利用者、市民、ボランティア、企業、行政などと協働して社会との関りでESDを拡充させることを大きなねらいに据える。 上記の実践研究について、学会や研究大会で発表したり、論文執筆を試みる。10月には国際動物園教育者会議の研究大会がニュージーランドの動物園で行われる。ここでの発表を大牟田市動物園との共著でエントリーしている。 学校連携のプログラムのデザインと評価を、学校教師と動物園担当職員、ならびに学ぶ学習者(子どもたちや学生など)と共に進める枠組みを構築する。豊橋動植物公園と地元の小学校の連携授業や、盛岡市動物絵公園ZOOMOでのシリアスゲームを用いたツキノワグマ保全プログラムなどの研究を計画している。 今年度はデザインと評価の枠組みの構築と、実践における妥当性の検証をおこなう。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ渦の影響と動物園側、研究者側双方の時間や移動など物理的制約があったため。旅費や学会大会参加費や研究機材購入を次年度に使用したい
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