研究実績の概要 |
本研究では英語学習の早期化に伴い増加する可能性がある英語学習困難児の早期発見と早期支援方法の確立について,3つの研究から解明することを目的とした。2022年度の研究実施状況は以下の3点であった。①言語・行動間比較による英語学習困難評価研究:英語学習を継続的に行っている小学生を対象に、日本語の読み能力や英語の読み能力、問題行動の頻度・強度を行動・質問紙により評価することとした。その結果、英語の読み理解得点と英語の音と文字の対応関係評価得点が低かった児童の方が高得点で合った児童に比べて、英語学習場面での高い問題行動の頻度と強度が有意に多いことを示した。低得点群の児童は英語だけでなく、児童は日本語の読み理解にも困難さがあったことを示した。②つづり反応促進型英語学習支援研究の実施:英単語を構成する音素・フォニックスを時系列的に提示し,観察や音声模倣を求める介入訓練を行った。音素等の組み合わせを学習したことで少数単語の訓練から未学習の英単語の聞き取り書字と読みが可能になったことを明らかにし,その成果を国際誌に投稿中である。さらには、英単語の読み書きを学習したことで、児童の問題行動の頻度と強度が減少したことも明らかにした(大森, 2022年9月; 高橋・大森, 2023年3月, IoT行動変容研究会)。③日本語・英語の音素理解能力の行動評定プログラムの開発:定型発達児および定型成人を対象に、音素の規則性およびルール変容課題を実施しその際の視線機能を測定した。その結果、日本語の読み理解得点が低い児童ほどルールを変容した音素への正反応率が低下し、反応時間が増大したことを示した。さらには、低得点児童の方が文字に対しての注視回数・注視時間が多くなったことも示した(大森, 2022年9月;大森・角谷, 2022年10月; 大森・山本, 2023年, 国内学会発表予定)。
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