研究課題/領域番号 |
22K13741
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研究機関 | 名古屋女子大学 |
研究代表者 |
堀部 要子 名古屋女子大学, 文学部, 准教授 (30910161)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 支援 / リーダー / 役割 / 行動 / 教育的ニーズ |
研究実績の概要 |
本研究は、公立小学校で行われている支援に関する実態と、リーダーの実践事例や役割と行動に関する調査及び自身の先行研究の結果を分析・検討し、ニーズ児への支援を実施する時に必要なリーダーの役割と行動を明らかにすることを目的とする。 本年度は、前年度に引き続き、地域性や規模、教職員や児童の実態が異なる公立小学校に研究協力を依頼し、「(2)リーダーの役割と行動に関する調査」を実施した。巡回相談の実施や授業・生活場面の参観、研修への参加を通して、研究協力校のニーズ児への支援の状況を把握するとともに、ニーズ児への支援プロセスで、どのリーダーがどのように関わるかを観察した。また、各研究協力校のリーダー(校長、教頭、教務主任、特別支援教育コーディネーター、特別支援教育主任 等)約20名を対象に、半構造化インタビューを個別に実施し、それぞれのリーダーがニーズ児への支援に際して、どのような役割を果たしたかを調査した。その結果、特別支援教育コーディネーターの果たす役割が大きいことが示された。しかし、特別支援教育コーディネーターの指名人数(1名~3名)と専門性、役職との兼務の状況など、それぞれの条件が多様であり、さらに詳細にリーダーの役割と行動を分析していく必要がある。 また本年度は、コロナ禍のために延期していた「(1)ニーズ児への支援に関する実態の調査」に着手した。現在、抽出された約30校(6市町村)に、全教職員対象のアンケート調査を依頼し、回収あるいは回収中である。今後も可能な限り対象を拡大して調査を実施し、支援の実態の分析と、リーダーの職別の役割意識と行動の分析を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
交付申請書には、前年度・本年度の予定として、「(1)ニーズ児への支援に関する実態の調査」「(2)リーダーの役割と行動に関する調査」という2項目を記載し、それぞれの項目について研究を進めてきた。 「(2)リーダーの役割と行動に関する調査」については、概ね予定通りに研究が進んでいる。 「(1)ニーズ児への支援に関する実態の調査」については、コロナ禍のために当初予定していた一部の市町村への依頼が困難になり、データ収集をより確実に行うためにも、実施を前年度から本年度へと延期した。現在、(1)の質問紙調査の実施は順調に進んでいるが、これからさらに調査対象の地域が増えることにより、より有益な研究結果を提供できることになるであろうため、来年度上半期に対象を拡大して調査を実施したいと考えている。それに伴って分析に着手する時期が当初の予定より遅れる可能性がある。以上の背景と研究の進度から、「やや遅れている」と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は、「(1)ニーズ児への支援に関する実態の調査」「(2)リーダーの役割と行動に関する調査」の結果と、自身の支援に関する先行研究を総合的に分析し、「(3)ニーズ児への支援に必要なリーダーの役割と行動の検討」を行う。例えば、ニーズ児への支援を想定した上で、教務主任は担任へのサポートとして助言や授業の補助を行った、コーディネーターは対象児への支援と保護者面談を行った、というようにリーダー別に役割や行動を整理し分析する。その上で、各学校が活用できるようなリーダー別の役割・行動一覧表を作成したい。 さらに「(4)ニーズ児への支援を促進するリーダー行動モデルの構築と検証」として、一人のニーズ児を中心に据え、気づきからケース会議、支援の実施、評価に至るまでの支援プロセスにおける各リーダーの役割と行動を図式化する。構築したリーダー行動モデルは、研究協力校への提供や学会への発表を通して検証し、より汎用性の高いリーダー行動モデルを検討したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究は、学校現場における調査が中心であり、研究開始年度よりコロナ感染症対策に配慮して、研究協力校や市町村教育委員会への訪問回数を控えざるをえなかった。来年度は、令和6年度請求額と併せて、訪問等の回数を確保するための消耗品費、旅費等として、また対象を拡大して実施するアンケート調査に係る人件費・謝金として使用する予定である。
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