研究課題/領域番号 |
22K13748
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研究機関 | 大阪大谷大学 |
研究代表者 |
五位塚 和也 大阪大谷大学, 教育学部, 准教授 (80783109)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 知的障害 / 特別支援学校 / メンタルヘルス / 心理教育 / スクールカウンセリング |
研究実績の概要 |
本研究は、知的障害のある児童生徒の特性に配慮した知的障害のある児童生徒のメンタルヘルスの保持増進に向けた心理教育的プログラムを開発し、効果的な教育実践の充実化を図ることを目的とする。本年度においては、知的障害特別支援学校においてメンタルヘルスに関するニーズの強い児童生徒の実態調査から、知的障害のある児童生徒のメンタルヘルスの評価方法について検討した。また、これらの児童生徒に対して教員が感じる指導上の困難や、有効な支援方法について調査し、知的障害特別支援学校における効果的な心理教育的支援について検討した。 ①知的障害特別支援学校において、不登校状態にある児童生徒の実態と要因、教員が感じる有効な支援方法について調査を行った。その結果、小・中学校からの転入者において、情緒および行動上の課題が顕著であり、前籍校でのいじめなどが不登校の要因になっていることが示された。また、家庭や児童生徒との関係作りや情緒的な支援、保護者との連携、教員間の連携に対して有効性を感じている教員が多いことが示された。これらの調査結果は、令和5年度の日本心理臨床学会第42回大会で発表予定である。 ②知的障害特別支援学校において、福祉型障害児入所施設に入所する児童生徒に対して教員が感じる指導上の困難と有効な支援方法について調査を行った。その結果、施設入所している児童生徒においてはアタッチメント形成の課題やトラウマによる困難を有しているケースが高率に含まれる可能性があり、被虐待歴のある児童生徒においては特に情緒面の課題が顕著であることが示された。また、児童生徒に対して受容・共感的な態度で個別支援を行うことが支援の基盤となること、被虐待歴のある児童生徒に対しては意欲喚起を図る支援が有効であることが考察された。これらの調査結果は、令和4年度に刊行された大阪大谷大学特別支援教育実践研究センター紀要第7号にて報告された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウイルス感染症の拡大による学校現場での教職員の多忙化の状況を考慮し、大規模な児童生徒のメンタルヘルスに関する調査協力が得られず、予定していた規模のメンタルヘルスに関する調査を行うことができなかった。しかし、知的障害のある児童生徒の中でも、メンタルヘルスに関するニーズの強い児童生徒に対象を限定し、不登校状態にある児童生徒や社会的養護の必要な児童生徒を対象とした実態調査を行い、児童生徒のメンタルヘルスを評価する方法について検討を進めることができた。また、令和4年度3月に、令和5年度から研究協力を依頼している特別支援学校から、自立活動の時間を利用した心理教育プログラムの実践研究について承諾を得ており、特別支援学校における心理教育プログラムについて検討を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度は、知的障害特別支援学校の中学部の生徒を対象として、自立活動の時間を利用した心理教育プログラムを実施する計画があり、臨床動作法を応用したボディワークやリラクセーション、心理劇を応用したグループ活動による支援についての検証を行う。また、これらの学校現場での心理教育プログラムの実施方法や効果について協議し、教育実践への応用について検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和5年度は、知的障害のある児童生徒に対する心理教育プログラムの具体的な内容を計画するにあたり、関連図書や効果測定に使用する心理検査を購入する予定である。また、心理教育プログラムを実践する際に使用する教材作成のために、タブレットや文具等の購入が必要となる。加えて、令和4年度および令和5年度実施の研究成果発表のために、学術大会への出張旅費に使用する。
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