研究課題/領域番号 |
22K13765
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
後藤 孔 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 助教 (80825943)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | プログラミング教育 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、連動ブロックもしくは文字で構成されたプログラムのソースコードを自動的に即時相互変換するプログラミング学習環境を開発し、それをプログラミング教育に導入することによって、教育効果が得られるのかどうかを検証することにある。今年度の研究成果は次に述べるとおりである。まず、ビジュアルプログラミング環境であるBlocklyをベースに、ブロックとHTMLテキストを自動的に相互変換するWebページエディタを開発した。単一の言語をブロックかテキストかの異なる表現形式に相互変換できる本教材は、生徒が直感的にWebページの作成方法を学び、HTMLの理解を深めることに貢献するものである。また、先の変換技術を応用し、JavaScriptとPythonで記述されたそれぞれのプログラムを自動的に相互変換できる統合開発環境の開発を行った。この教材は、生徒が異なるプログラミング言語の学習を効率的に並行して進めることに貢献するものである。さらに、これらの教材の教育効果を検証するために授業実践を行った。中学校の生徒を対象とした前者の授業実践では、Webページエディタを用いてWebページの作成方法や基本的なHTMLの構造などを学ぶ授業を行った。アンケート調査においては、多くの生徒がWebページエディタの有する支援機能により、Webページに対する学習意欲が高められ、学習を進める上で有用であったと回答した。高等学校の生徒を対象とした後者の授業実践では、統合開発環境を用いてJavaScriptとPythonの文法の違いを比較しながら学ぶ授業を行った。アンケート調査においては、大多数の生徒が統合開発環境に対して肯定的な考えを示し、両プログラミング言語の文法学習に有用であると回答した。また、異なる言語の知識を活用することやビジュアルプログラミングの手法を併用する有用性についても肯定的な回答が多く確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究は、2年の研究期間を8ヶ月の3期(第I期<2022年4月から11月>、第II期<2022年12月から2023年7月>、第III期<2023年8月から2024年3月>)に分けて進めているものである。当初の計画では、本研究の授業実践を早くても第II期の後半から開始する予定であった。しかし、教材の開発が首尾良く進行したことから、授業実践を第II期の後半開始より前に終了することが可能となった。これにともない、その後に予定していた研究活動はスケジュールを繰り上げて実施している。よって、現在までの進捗状況は当初の計画以上に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
研究の範囲を広げるために、研究テーマに対する新たな着眼点の探求を行う。例えば、他のプログラミング言語や領域における即時相互変換の研究、異なる教育段階や学習者の特性に合わせた教材の開発など、さらなる展開や応用の可能性を模索する。また、他の研究者との連携や共同研究を積極的に進める。例えば、学会や研究会での発表および交流を通じて情報共有を図り、相互の研究成果を統合する取り組みを検討する。
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