研究課題
2022年度は、1)RTK-UAVおよび安価な3Dプリンタを購入し、研究を進めるための環境整備を実施した。それぞれの運用について、情報収集を行いながら、容易に利用できるための準備を実施した。2)RTK-UAVを用いた地形計測を、河川・海岸・斜面崩壊地・地下文化遺産といったフィールドで実施した(愛知川・佐久良川・高時川・手取川・三陸海岸・山陰海岸・三陸海岸・常磐海岸・田谷の洞窟・北海道厚真町など)。降雨や大規模出水などの大きな地形変化イベントが発生する前後に地形測量を実施した。研究者や河川管理者、地域住民らと協力しながら、基礎科学の側面を有する地形学の研究成果や、サイエンスコミュニケーションを通した河川管理の実務へ使用できる基盤情報を蓄積した。3)計測した三次元データを3Dプリントで印刷した地形模型の試作を行い、高校生(筑波大学公開講座)や地域住民を対象としたワークショップ(西堀榮三郎記念探検の殿堂)を開催した。研究協力者である高校教員や博物館学芸員と議論を重ねながら、地形や地形の動きを理解しやすい教材作成の改善につなげた。4)学校教育で扱われている地理・地学における地形教育の教科書分析を行い、改善点や問題点を指摘したうえで、3Dプリントを利用できる単元を策定した。5)高精細な3次元データに関する国際会議(JpGU)におけるテーマ別セッションのコンビーナをつとめた。これにより、学術的な問題点や実践記録の蓄積について検討した。
2: おおむね順調に進展している
本年度は、根幹となるRTK-UAVおよび3Dプリンタの導入から運用をはじめ、地形学や地球科学教育に関する研究蓄積や研究事例の蓄積を計画通りに進めることができた。これらの研究成果やイベントの様子については、個人ウェブサイトやTwitterなどで広報活動を行い、興味・関心の高い方々からさらに情報を得るなど、研究遂行にとって有益な活動となった。また、RTK-UAVやレーザ測量で取得した3Dデータをもとに地形や教育に関する論文を2編出版した。国内外の研究協力者との議論も円滑に行えており、特に学校現場や博物館展示における教材整備の方向性についての具体的な方策について検討することができている。現在、地形学や河川工学・地理・地学に関する論文を4編投稿しており、研究成果の公表のために円滑に研究を進めることができている。
次年度もRTK-UAVやレーザ測量を用いた高精細な地形情報の取得について、引き続き河川・海岸・地下文化遺産などを対象にデータを蓄積していく。その上で、まずは研究対象地のステークホルダーとの議論の中で3Dプリントを用いた地形模型を使用し、教材の有用性や悌二方法の改善案について模索する。さらに、データの取得からアウトプットまでの一連の流れをマニュアル化・論文化することを目指し、簡単かつ高い学習効果を得られる地形模型を作成できるプロセスを可視化した上で広く公開することを目指す。
現在1編の査読付論文について条件付き受理となっており、論文掲載料(カラーページ代および超過ページ代)を確保していた。しかし、年度内の受理が見込めなくなったため、次年度に執行予定である。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (18件) (うち国際学会 5件) 図書 (1件) 備考 (4件)
地学雑誌
巻: 132 ページ: 33-55
10.5026/jgeography.132.33
E-journal GEO
巻: 17 ページ: 169-179
10.4157/ejgeo.17.169
http://www.shigahochi.co.jp/info.php?type=article&id=A0037104
https://www.life.tsukuba.ac.jp/laboratory/lab_ogura_20221102/
https://www.tsukuba.ac.jp/events/20220603143447.html
https://www.geoguraphy.com/achievements/outreach