研究課題
2023年度は、1)2022年度に引き続き、RTK-UAVを用いた地形計測を、河川・海岸・斜面崩壊地・地下文化遺産といったフィールドで実施した(愛知川・佐久良川・山陰海岸・三陸海岸・田谷の洞窟・能登半島地震海岸隆起地形など)。研究者や河川管理者、地域住民らと協力しながら、基礎科学の側面を有する地形学の研究成果や、サイエンスコミュニケーションを通した河川管理の実務へ使用できる事例について、論文1編を公表した(小倉ほか 2024, 応用生態工学).2)3次元表現が難しい微地形の表現手法開発に関する論文1編を公表し、防災学習への応用が見込める手法を提示した(矢澤ほか 2023,地形).3)2022年度に引き続き、高精細な3次元データに関する国際会議(日本地球惑星科学連合)におけるテーマ別セッションのコンビーナをつとめた。これにより、学術的な問題点や実践記録の蓄積について検討した。また、2024年1月に研究協力者が主催する国際地下文化遺産シンポジウムにて発表し、3Dプリントを用いた地域学習の事例紹介を行った。主にイタリアの研究者との議論を行った。4)市町村教育委員会主催の教員研修を行い、3Dプリントやデジタル3D地図に関する普及活動を行った。また、教員研修オンラインコンテンツの整備を行い、3Dプリントの手法にかかわる動画教材作成を行った。5)地球科学最大規模の学会である米国地球物理学連合(AGU)にて、2022年度に実施したワークショップの実践報告を行い、教材開発の手法やワークショップの計画等について海外の研究者や高校生・大学生・大学院生と議論を行った。
2: おおむね順調に進展している
3Dプリントを行うデータの根幹となる、地形学や自然地理学に関する基礎科学の研究成果の蓄積を進めることができた。それに伴い、教材用データもそろい、研修教材も作成できた。論文投稿や学会発表も順調にできた。
次年度は、基礎科学の研究成果の蓄積を継続しながら、3Dプリント教材の効果検証のフェーズに移行し、小中高や大学の他の研究者と協力しながら授業実践、授業デザイン、効果検証を実施していきたい。
すべて 2024 2023
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (18件) (うち国際学会 8件、 招待講演 1件)
応用生態工学
巻: 26 ページ: 85-94
10.3825/ece.22-00012
地形
巻: 44 ページ: 61-70
新地理
巻: 71 ページ: 1-11
10.5996/newgeo.71.2_1