研究課題/領域番号 |
22K13787
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研究機関 | 茨城工業高等専門学校 |
研究代表者 |
澤井 光 茨城工業高等専門学校, 国際創造工学科, 講師 (30784962)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 汚染土壌 / フッ素 / 六価クロム / 簡易分析 / EDTA |
研究実績の概要 |
(1)汚染土壌および固体廃棄物フッ素の簡易分離法の開発と定量精度の検討: 試料として, 粒径0.3-1.0 mmのフッ素含有土壌(136±8 mgF/kg)と二水石膏(1996±38 mgF/kg)を用いた。テフロン性密閉容器に試料と分解剤10 mLを添加し密閉後,電子レンジ内でマイクロ波(出力: 700 W)を照射して加熱し,得られた分解物をろ過,過塩素酸分解,水蒸気蒸留に供し,その後にLa-ALC吸光光度法によってフッ素回収率を定量した。分解剤として炭酸塩を用いた場合はブランクが大きく定量精度が損なわれた。一方,フッ素抽出に効果の高かったNaOHとEDTAを5 mLずつ混合したときの抽出率は62 %と最も大きくなった。また二水石膏に100 mM EDTAを加えて3分以上加熱したところ,石膏中のフッ素は定量的に抽出された。石膏の主成分は硫酸カルシウム二水和物(CaSO4・2H2O)であり,EDTAが錯形成によってCaSO4の電離を促進してフッ素抽出を促したと考えられる。 (2)汚染土壌中六価クロムの簡易分離法の開発:クロム汚染土壌(CrVI=147.9±8.4 mg/kg)を用い,分解剤5 mLをテフロン製密封容器に添加し電子レンジでマイクロ波(700 W)を照射して加熱したうえで上澄みのクロム濃度をICP発光で測定した。精製水によるクロム抽出率は0.2 %であったが,塩基性分解剤を用いた場合は,KOH(9.7%),EDTA(7.8%),NaOH(3.3%)が大きな抽出率を示し,強い塩基は土壌成分であるケイ酸塩を溶解し,クロムの抽出に寄与すると考えられる。またEDTAは土壌中でクロムの吸着層を構成する金属酸化物等の溶解をもたらしたと考えられる。加熱時間を2分とした場合, EDTAによって71%と飛躍的なクロム抽出量が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
固体廃棄物からのフッ素の定量的回収と土壌からのクロム抽出については目標を達成できる見込であるが,土壌分解液からのフッ素,クロムの単離は現在進行中であるため。
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今後の研究の推進方策 |
土壌,廃棄物の全分解溶液からフッ素およびクロムの簡易単離(固相抽出法)を実施し,吸光光度法のようなシンプルな定量法で濃度評価が可能なシステムを構築する。
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次年度使用額が生じた理由 |
固相抽出検討が次年度に繰り越しとなったため,その調達費が未執行となったため
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