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2022 年度 実施状況報告書

罪悪感がセルフコントロールの成功に寄与する認知メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 22K13793
研究機関広島大学

研究代表者

古川 善也  広島大学, 人間社会科学研究科(教), 助教 (50826477)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2026-03-31
キーワード罪悪感 / セルフコントロール / 葛藤対処プロセスモデル / セルフコントロールの失敗
研究実績の概要

現代社会においては様々な場面でセルフコントロール能力が求められている。長期的目標と即時的欲求の間で生じる葛藤において,セルフコントロールを発揮することで長期的目標の追求を維持できる。しばしば即時的欲求の誘惑に屈してしまうが,総合的に見ると我々はセルフコントロールを発揮し,長期的目標を優先できている。したがって,セルフコントロールの失敗から次の時点での葛藤の制御を改善させる機能が想定される。この過程について,セルフコントロールの失敗から喚起し,自己改善動機を促進する感情である「罪悪感」に着目し,セルフコントロールの失敗から成功への寄与の過程を検討する。
研究実施期間の1年目である2022年度は,研究実施に向けた準備を主に行った。具体的には経験サンプリング法を用いての罪悪感が行動レベルでのセルフコントロールの成功を促進することを確認する調査に向けて,経験サンプリング法を実施するプラットフォームであるExkumaの情報収集と使い方の取得を行った。そのために,Exkumaを運営している団体であるJESMA 日本経験サンプリング法協会のフォーラムに参加,および罪悪感を扱った経験サンプリング法の先行研究(Hofmann et al., 2012)の手続きの確認を行い,経験サンプリング法による調査の実施に向けた準備を行った。また,実験2(罪悪感の主観的価値への影響),実験3(罪悪感の注意バイアスへの影響),実験4(罪悪感の行動抑制への影響)は実験室実験を行う予定であり,パソコンにて課題を提示する手続きを取るため,そのための実験プログラムの準備を行った。これらの準備を基に,次年度以降は研究の実施段階に入っていく。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

2022年度は,研究計画通りには研究を遂行することができなかった。研究実績の概要とも重複する内容であるが,研究実施に向けての準備を主として行っていた。次年度以降に,これらの準備を基に,研究の実施段階に入っていくことを予定している。

今後の研究の推進方策

2023年度については,研究1と研究2を実施することを計画している。
研究1では,経験サンプリング法での調査により,罪悪感が行動レベルでのセルフコントロールの成功を促進することを確認する。ある時点で欲求の葛藤におけるセルフコントロールの失敗に対して強く罪悪感が喚起されるほど,次以降の時点での欲求の葛藤の際にセルフコントロールの成功が生じやすくなる。また,より時点間隔が短いほど罪悪感による影響は大きいと予測される。
研究2ではセルフコントロールに関わる「誘惑の予防」の段階での罪悪感の効果について,遅延割引課題を用いて長期的目標への選好を罪悪感が高めるかを検討する。長期的目標を選好し,主観的価値が高くなるほどセルフコントロールは容易になる(e.g., Berkman et al., 2017)。長期的目標は熟慮的処理の活性化により優勢となり(Hofmann et al., 2009),罪悪感は熟慮的処理を強める(Morto et al., 2016)。また,快楽などの即時的欲求は不道徳とみなされやすく(Hofmann et al., 2018),罪悪感は不道徳な対象への主観的価値を引き下げる(Chen et al., 2017)。そのため,罪悪感は長期的目標への選好を強めることが予測される。

次年度使用額が生じた理由

当初の計画では1年目に経験サンプリング法を用いての調査を実施する予定であった。しかしながら,実施のための準備が間に合わせることができず,2022年度での実施を見送ることになった。そのため,調査の実施にあたっての調査プラットフォームの利用料金,および参加者に対する謝礼による支出が生じなかった。2023年度に経験サンプリング法を用いての調査を実施することに変更をし,そのために必要となる経費を2023年度に繰り越す。

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公開日: 2023-12-25  

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