研究課題/領域番号 |
22K13801
|
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
中村 航洋 早稲田大学, 理工学術院総合研究所(理工学研究所), その他(招聘研究員) (20817275)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 容姿 / ステレオタイプ / データ駆動処理計算 / 画像生成 / 深層学習 |
研究実績の概要 |
本研究では、容姿に基づくステレオタイプを生成画像として可視化する技術を確立し、ステレオタイプと偏見を低減する効果的な介入方法を提案することを目指す。本年度は主に以下の研究課題に取り組んだ。
研究1 (容姿の印象知覚と画像特徴量のモデル化手法に関する研究):前年度に引続き、敵対的生成ネットワーク(GAN)による画像生成を利用し、顔の印象と関連した画像生成特徴量のモデリングに関する研究を実施した。具体的には、顔の画像表現と対応づけられた潜在変数と容姿の印象の関数関係をガウス過程回帰より明らかにし、従来法よりも高い精度で顔印象知覚や容姿ステレオタイプを予測し、印象知覚の個人差を定量化する手法について研究を進めることができた。本研究成果の一部は、既に査読付き国際誌に投稿し現在審査中である。
研究2 (容姿のステレオタイプを変調させる文脈情報に関する研究):容姿のステレオタイプ (顔印象知覚)が顔を観察する文脈によって変調する可能性について検討した。顔ステレオタイプの一種として知られる支配性や性的二型性の印象を知覚する際に、特定のイメージと結びついた色情報を課題非関連文脈情報として与えると、顔印象の知覚が変調されることが明らかになった。このことから、容姿に基づくステレオタイプの知覚が状況依存的であり、文脈情報によって強化あるいは低減される可能性が示唆された。本研究成果の一部は、査読付き国際誌として採択された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
容姿のステレオタイプの可視化の手段として、敵対的生成ネットワーク(GAN)による画像生成技術を活用してきたが、GANによる画像生成、画像特徴量のモデリングには膨大な計算コストが発生し、現実の写真と区別ができない水準の顔画像を使った心理実験をさらに進めるためには、画像生成の品質向上を含む技術的な改良が必要となることが明らかになった。
|
今後の研究の推進方策 |
画像生成手法およびモデリング手法の見直し、画像生成に十分な計算リソースを確保することで、技術的な課題の解消を図り、当初の研究計画の遂行に努める。
|
次年度使用額が生じた理由 |
本研究計画について概ね予定通りに進捗している研究課題はあるものの、本研究のコア技術として利用する深層学習による画像生成について、技術的な改良が必要な点が明らかになり、当初の計画よりも遅れが生じている。そのため、実験の実施、成果の公表にかかる費用を次年度で支出する必要性が生じた。
|