• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2023 年度 実施状況報告書

所属集団の多さと顕在・潜在的自尊感情の関連及び主観的well-beingへの影響

研究課題

研究課題/領域番号 22K13804
研究機関一橋大学

研究代表者

後藤 伸彦  一橋大学, 大学院社会学研究科, 講師 (40824959)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2027-03-31
キーワード複数集団メンバーシップ / 社会的アイデンティティ / 複数集団成員性 / 自己ステレオタイプ化 / 潜在的自尊感情 / 顕在的自尊感情 / well-being
研究実績の概要

人は所属する集団(家族、職場、国)が多いほど自己報告による全体的な自尊感情が高く、主観的な幸福感、人生満足感(well-being)も高いことが知られている。ただしこのことは文化差がある可能性が指摘されており、主に中華系の学生では所属集団の多さとwell-beingが関連しないことを示すデータがある。また自己報告に拠らない自尊感情、あるいは、自己報告であっても様々な側面の自尊感情が、所属集団の多さやwell-beingとどのように関係しているのかについてはわかっていない。
2023年度は自己ステレオタイプ化とステレオタイプ内容モデルの理論に基づき、自己について暖かさと有能さの二側面からの測定を試みた。その結果、自己を暖かい、また有能であると思う程度は自尊感情、人生満足感、また孤独感と強い相関がみられた。そして重要なことに、所属集団の多さは、これらといずれも強い相関を示し、自尊感情を統制した場合、暖かさの方が有能さより所属集団の多さと高い相関係数を示した。これらの結果は、まず中華系の学生参加者を対象とした過去の研究とは異なり、日本の一般成人では、欧米の研究等と一貫して所属集団の多さが自尊感情やwell-beingと関連することを示した。つまり、所属集団の多さとwell-beingの関係の弱さは「アジア人」一般に見られるものではなく、このような違いがなぜ見られたのか引き続き調査が必要である。第二に、本研究ははじめて、自尊感情のなかでも暖かさが所属集団の多さと関連したことを示した。これは所属集団の多さが社会的サポートの受容と提供につながるとする過去の研究に一貫する結果であると考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究は今のところ、当初の計画通りのデータが得られており、引き続き研究を推進していく予定である。

今後の研究の推進方策

自己ステレオタイプ化とステレオタイプ内容モデルに基づいた暖かさと有能さについての自尊感情が全体的な自尊感情と高い相関が得られ、また所属集団の多さとも同様の相関を示したため、これらの刺激語を用いた潜在連合テストを作成し、自己報告と潜在連合テストによる自尊感情が、所属集団の多さと一貫して、あるいは異なる形で関連するのかを確かめる。そして、それらの関連性が個人差によって変化するのかを調べる。
研究の実施にあたっては引き続き研究補助員を雇用し研究を推進していく。

次年度使用額が生じた理由

当初予定していた海外学会への参加を中止したため、次年度使用額が生じた。次年度においては調査参加者への謝礼、研究補助員への人件費、そしてこれまでに得られた研究成果を国際学術誌に発表するための費用として使用していく計画である。

URL: 

公開日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi