研究課題/領域番号 |
22K13827
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研究機関 | 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所) |
研究代表者 |
高橋 知也 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (90813098)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | SOSの出し方教育 / 援助要請 / 被援助志向性 / 自殺対策 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、応募者らが現在までに開発した「命・つながり・SOSの出し方プログラム」の短期および長期効果を検討するとともに、同プログラムが地域特性や校種・学年を問わず有効であるかを検討することである。2022年には神奈川県川崎市の小学校および、東京都府中市の中学校で、2023年には2022年度と同じフィールドに加えて秋田県北秋田市の小学校でもプログラム導入による短期および長期効果の検討を行った。 短期および長期効果の検討は授業実施2週間前・2週間後・3か月後の計3回実施した児童及び生徒へのアンケートの結果に関する量的分析および、授業後に任意で回収した児童・生徒の感想文の質的分析によって実施した。質問項目は現在の悩みごとの有無やその内容、周囲の信頼できる大人やあいさつをしてくれる大人の数、援助に対する欲求や抵抗感、こころの健康度(WHO-5-J)などとした。 2024年5月現在は、2023年度に収集した量的データのデータセットの整理が進んでおり、整理および分析が完了次第、順次学会発表や論文執筆を行う予定である。また、授業を導入した各学校の学校長および教職員へのインタビューについても、順次文字起こしおよび質的分析を進めている。 なお、当初2023年度に予定していた秋田県内の中学校でのプログラム導入および効果測定については、2024年度内に完遂できる見込みとなっており、これをもって当初予定していた全てのフィールドでの調査が完了し、地域間比較も含めた短期および長期効果の検討が可能となる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウイルスの流行や自治体との調整の遅れにより一部研究がペンディングとなるなどの影響は受けたものの、一部の調査を前倒しするなどの必要なマネジメントを行いながら調査を進行している状況にあり、研究としては概ね順調に推移している。 上述の通り、当初予定していた全フィールドでの介入およびデータ取得を完了できる見通しであり、引き続き学会発表および論文化にも注力していく。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、2023年度に完遂した各フィールド介入を通じて採取したデータの整理と分析を進めていく。得られた分析結果については、随時学会発表での発表や論文化を目指す。 平行して、2023年度にペンディングとなった秋田フィールドにおける中学校での調査を2023年度内に完遂することを目指しており、現在も現地担当者(北秋田市教育委員会および教育コーディネーター)との調整や、現地で活動する学校教育ボランティアとの協働を継続している。 なお、2022~2023年度に介入を行ったフィールドからは、2024年度も引き続きSOSの出し方教育プログラム実施を依頼されている。すでに当初の計画は達成済であるが、2024年度も持続可能な形でプログラムを実施できるよう、現在も調整を行っている。
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次年度使用額が生じた理由 |
前述の通り、2023年度内に実施予定であった秋田県北秋田市内の中学校におけるSOSの出し方教育プログラムが2024年5月時点では未完了であるほか、すでに過年度にプログラムを実施済みである川崎市・府中市・北秋田市などのフィールドでも2024年度に追加介入を検討している。 それぞれの介入に必要な予算(授業内で講話を担当する専門家への謝礼など)を用意する必要が生じていることや、海外ジャーナルなどへの論文投稿に必要な英文校正費用を支出する予算を確保するなどの理由で、2023年度の予算の一部を2024年度に用いる計画となっている。
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