神経発達症のひとつである自閉スペクトラム症(ASD)は、社会的コミュニケーション・対人関係の困難さ、強いこだわりや限られた興味を持つ障害である。ASDを有する子どもへの支援のみならず、親などの養育者の支援も重要である。本研究では、ASD児童を養育する母親向けペアレントトレーニングをTV会議システムを用いて実施し、パイロットRCTによる効果検証を行う。コロナ以前は、ペアトレは対面式による小グループで実施されることが多かったため、トレーニング中に行う参加者同士のロールプレイや意見交換は、効果的なピアアシスタント構造を形成することができた。一方で、TV会議システムによるオンライン介入では、対面と同じロールプレイは難しく、工夫が必要である。 2023年度は、参加者が自宅で視聴できる動画教材の作成を行なった。具体的には、対面ペアトレで参加者が実施するロールプレイにモデル動画の教材ビデオ作成を行なった。この教材利用により、参加者が、各自、利用しやすい時間や場所で、オンライン教材として視聴し、トレーニングの一部を受講することを可能にする。オンライン教材学習の後で、TV会議小グループでのリアルタイムセッションに参加する方法を構成した。
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