研究課題/領域番号 |
22K13850
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
久能 勝 千葉大学, 子どものこころの発達教育研究センター, 特任助教 (20802573)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 強迫症 / 認知行動療法 / 長期予後 / 不登校 / ひきこもり |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、児童・思春期強迫症への認知行動療法の長期的な有効性を検証することである。本邦での児童・思春期の強迫症に対する認知行動療法の効果と長期的な経過の報告はこれまでなく、強迫症への認知行動療法の、長期的な再発率や寛解率を明らかにすることは意義があると考える。また本研究では、不登校や引きこもり、進学や就労の状況を同時に調査することで、認知行動療法を受けることによる社会適応の状況の変化を明らかにしていく。近年、不登校や引きこもりの増加が報告されており、その背景となる強迫症、および自閉スペクトラム症を併存する強迫症に認知行動療法を行うことで、強迫症状の長期的な予後に加え、不登校や引きこもりの有無、進学や就労といった社会適応の状況も調査していくことは、重要な課題であると考える。また本研究の結果を基に、社会適応の改善に寄与するような支援の連携も視野に入れた認知行動療法のプログラムを開発を目的としている。我々は、本研究に先立ち、平成26年から児童・思春期強迫症への対面での認知行動療法を、平成30年~令和3年には、テレビ電話での面接による遠隔認知行動療法の有効性を待機群と比較するランダム化比較試験を実施してきた。本研究では、千葉大学で認知行動療法を受けた患者の長期的な経過を、電話もしくはテレビ電話を用いて評価する。具体的には、強迫症の診断の有無と強迫症状の重症度を評価し、強迫症に対する認知行動療法の長期的な効果を明らかにする。それと同時に、強迫症に併存することが多い自閉スペクトラム症の有無に着目し、引きこもりや不登校、進学や就労の状況なども併せて評価することによって、認知行動療法を受けた児童の長期的な社会適応について検証する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は、強迫性障害に対する認知行動療法の長期予後に関する先行研究を参照し、研究計画を作成し倫理審査委員会の承認を得ることを目標としていた。しかし申請者の他の研究課題がコロナによるリクルートの遅れから遅延が生じていたことで本研究の進展が遅れ、2023年3月末日時点で研究計画を作成中である。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、研究計画書を作成次第、倫理審査委員会の承認を得る。その上で研究計画に従い、被験者のリクルートとデータの収集を開始する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究は研究計画の作成中であり、患者謝金の支払いや物品費等が生じなかったことから、次年度使用額が生じた。2023年度は、患者謝金の支払いは研究実施のための物品費、また学会での情報交換などにも使用する。
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