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2022 年度 実施状況報告書

若年者の自殺予防に生かす強み活用に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 22K13857
研究機関金沢工業大学

研究代表者

伏島 あゆみ  金沢工業大学, 情報フロンティア学部, 准教授 (30782099)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2024-03-31
キーワード自殺予防 / 強み / 若年者
研究実績の概要

一般に,強みは自殺予防に役立つものの,強みの種類によっては自殺リスクを高めることもある。本研究における主な学術的問いは,「強みの活用は自殺予防に寄与するか?」,「強みの活用を自殺予防に役立てるためには,どのような条件が必要となるか?」である。
本年度はまず,質問紙調査を行ない,強みの種類や活用する場面を踏まえて,強みの認識・活用が自殺の抑制・促進要因や自殺念慮にもたらす関連性を検討した(3回目は2023年度に実施予定)。2022年10月と2023年2月に,インターネット調査会社を経由して若年層500名程度を対象に2回の縦断的質問紙調査を行なった。調査項目は,強みの種類,強みの認識や活用,自殺の抑制・促進要因(所属感の減弱,負担感の知覚,抑うつ,ソーシャルサポート,ウェルビーイング),自殺念慮などである。
その結果,どのような強みであっても活用することがウェルビーイングの向上をもたらすことが明らかとなった。また,対自的(自己に焦点した)強みを有する者では,強みの活用が自殺の抑制要因(ウェルビーイング,ソーシャルサポート)を向上させ,ひいては自殺念慮を低減させる可能性が示された。一方,対他的(他者に焦点した)強みを有する者では,強みの活用は自殺の促進要因(所属感の減弱,負担感の知覚),および自殺念慮をも直接的に低減させることが示された。また,対他的強みと対自的強みとの間で,強みの認識・活用感は大きく異ならなかった。
これらの研究成果は,2023年度に学術大会にて一般発表を行なって公開する。また,査読付き学術論文として,2023年度中に投稿する予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

学生のストレスフルなライフイベント時期を避けるため,縦断的質問紙調査の実施開始時期を当初計画より2ヶ月程度遅らせたものの,2023年度6月頃には縦断的調査の3回目を終え,2023年中には介入研究を実施・完了する予定であるため,全体の実施スケジュールの遂行には問題がないと考える。

今後の研究の推進方策

2023年度6月には,縦断的質問紙調査の3回目を実施し,自殺の抑制・促進要因や自殺念慮の経時的変化にもたらす強みの認識・活用の影響を詳細に追っていく。また,その結果をもとに当初のもう一つの研究課題である,強み活用課題の介入研究を行い,その効果を実証する。

次年度使用額が生じた理由

2022年度に支払いを含めて完了する計画であったインターネット調査会社への支払いが,2023年度に後ろ倒しとなったため,次年度使用額が発生した。2023年6月には質問紙調査が完了するため,支払いも完了する予定である。今年度分は当初計画通り,介入研究参加者への謝金や,研究発表にかかる費用として使用する予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Mediating effects of well-being on character strength and suicidal tendencies in university students2022

    • 著者名/発表者名
      Fusejima Ayumi、Tsuda Akira、Tanaka Yoshiyuki
    • 雑誌名

      The Japanese journal of psychology

      巻: 93 ページ: 209~218

    • DOI

      10.4992/jjpsy.93.21016

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Longitudinal Correlated Changes in suicidal ideation, character strength, and well-being2022

    • 著者名/発表者名
      Fusejima Ayumi、Tsuda Akira、Tanaka Yoshiyuki
    • 学会等名
      The Japanese Psychological Association

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公開日: 2023-12-25  

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