本研究では「強みの活用は若者の自殺予防に役立つのか?」に着目した。強みの活用が自殺念慮に影響するかを明らかにするため,4か月間隔の縦断的な質問紙調査を行った。強み(特に親切や感謝などの他者のために使われる強み)の活用が自殺念慮の低下と関連することが示された。 次に他者のために強みの活用を行うことが,自殺リスクを低減させるかを明らかにするため,介入研究を行った。2週間,他者のために強みを活用し,記録したグループでは自殺念慮が下がった。ただし,生活習慣を記録した別のグループでも自殺念慮が下がったため,強みの活用が自殺予防に効果があるかは十分に明確でなく,自殺予防効果の更なる検討が必要である。
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