研究課題/領域番号 |
22K13864
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研究機関 | 公益財団法人大原記念労働科学研究所 |
研究代表者 |
西村 春輝 公益財団法人大原記念労働科学研究所, 研究部, 研究員 (20826119)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | safety / mental health |
研究実績の概要 |
2023年度は、第一に、Safety Culture Assessment Toolを用いて、製造業の企業を対象とした安全文化の調査を追加で行った。調査の結果、安全に関わる制度の運用面について、現場側の作業者・責任者と管理者側の間で認識のギャップが認められた。管理者側では実効性のある仕組みであるとみなしていた一方で、現場サイドでは、実効性がないと評価されていた。このような結果について民間企業所属の者と意見交換をしたところ、製造業に限らず幅広く当てはまる現象であるとのフィードバックを受けた。制度の運用面に関する職位間のギャップは幅広い業種に当てはまることが示唆された。 また、医師を対象とした働き方についてのウェブ調査を行い、医師の自己研鑽の状況、時間外勤務の状況、自宅勤務の状況、宿直の状況、勤務間インターバルなどについて実態調査を行った。調査対象者の医師の30%から50%が時間外業務を「自己研鑽」と処理していることが示された。また、勤務時間として申請していない自宅業務があると回答したのは20%程度であった。これらの割合は、職位によって異なる結果であった。安全との関連について、現在の働き方が安全に望ましくない影響しているか尋ねたところ、約30%程度の医師が働き方が医療安全に影響を与えていると回答していた。今後は、安全に対するネガティブな影響が、勤務時間や休息、疲労の状態、時間外勤務の状況などの働き方がどのように影響を与えているのかを調べていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
安全文化に関する調査を順調に遂行できている。また、安全文化的課題が特定の業種に限らず幅広い業種に適応可能であることが示唆される結果も得られた。
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今後の研究の推進方策 |
定量データだけでなく、各種報告書やインタビューなどの質的データを活用し、安全とメンタルヘルスに共通の要因の検出を試みる.
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度はデータの収集に注力したため、旅費が想定よりも低い額であった。また、データの収集等にかかる費用は、所内予算等を活用した。
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