研究課題/領域番号 |
22K13878
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
小林 勇輝 立命館大学, OIC総合研究機構, プロジェクト研究員 (60885747)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 心理物理学 / 錯視 / 明度 / 知覚心理学 |
研究実績の概要 |
本研究は,錯視量の相関をもとにした明度錯視の関係の可視化と,その結果を用いた既存モデルの評価を主な目的としている。初年度となる本年度はまず,これまでに論じられてきた明度知覚モデルの理論的な関係について,整理を行った。具体的には,1940年代から発展した古典的なコントラスト理論とその限界や,2000年前後のゲシュタルト的理論と生理学的なモデルの比較,そして近年の計算論的なモデルについての情報を整理し,理論的に評価した。特にマルコフ確率場という手法を用いた近年のモデルについて中心的に議論を行い,その成果をレビュー論文として執筆した(採択済み,2023年度に出版予定)。この論文の中では,モデルの説明力とともに,直観的な理解可能性という観点の重要さを論じている。このようなモデルについての理論的整理は今後の本研究の下地として機能することが期待できる。 また,大規模なサンプルを対象としてオンライン実験を行った。この実験では,これまでの研究でモデル評価に用いられてきた錯視群に加え,理論的に重要と思われる錯視を用いてそれらに対する錯視量の測定を行った。この結果に対し,類似の実験を行った先行研究のオープンデータと照らしながら分析を行い,錯視量の相関をベースとした錯視間関係の可視化に取り組んだ。データからは,理論的な分類とある程度整合する点と,整合しない点が見られ,理論による分類とデータによる分類の比較について現在考察を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の目標であった実験の実施と分析の開始の段階に至っており,十分な成果であると言える。また,理論的な側面に関しての議論を十分に整えたことは今後の本研究の下地として機能することが期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
得られたデータをもとにして,合理的なモデル評価の方法を探索的に検討していく予定である。その中では,それぞれのモデルがどの錯視を説明できていると考えられるかについての改めての情報収集やモデルテストを行う。さらに,再度別の実験データを取得してモデル評価法の妥当性を検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初はノートPCの購入が予定されていたが,初年度は既有のものの利用で十分研究に取り組むことができた。新規のPC環境の構築は時間を要することや,性能の高い新世代PCの登場は頻繁に起こることから,使用可能な既有PCがある状態で新たにPCの購入・環境構築は行わなかった。しかし既有のPCはすでに損耗が見られるため,次年度に新たなPCを購入する。次年度使用額はその費用に充当する予定である。
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