研究課題
本研究は,対象の脅威性を私たちがどのように視覚的に判断しているのかを明らかにすることを目的としている.本年度は,以下の3点を中心に取り組みを行った.1)近接性を手がかりとした嫌悪感染:非倫理的な行為を行った人物と空間的に近接した対象に対しても嫌悪感が抱かれるという「嫌悪感染」現象を明らかにした.これは,空間的近接性が脅威判断において重要な手がかりとなることを示している.2)リアリティ乖離に基づく嫌悪反応:笑顔がプリントされたマスクを着用した人物に対し,嫌悪感が生じることを示した.この反応は,顔のパーツ間におけるリアリティ印象の乖離に起因する可能性があり,不気味の谷現象の背景にある認知メカニズムとの関連を理論的に検討した.3)感染嫌悪に起因する回避行動:自己の所有物と他者の持ち物との間にも,パーソナルスペースに類する「拡張的パーソナルスペース(PS)」が存在することを示し,さらにこの拡張的PSがコロナ禍において拡大したことを明らかにした.この研究成果は査読対応を経て出版された.また,感染のリスクが存在しないバーチャル空間においても,感染症に罹患している人物が操作するアバターに対しては接近を忌避する傾向があることが判明した.4)視線に基づく対人印象と認知バイアス:直視してくる対象への印象が,参加者の認知バイアス(透明性の錯覚)に与える影響を検討した.結果として,直視は顕著な影響を示さなかった.これは直視の脅威手がかりとしての役割を検証する先行知見として有益であった.その他,感情処理に関する研究や本研究の進行方向として掲げたオープンサイエンス関連の研究についても精力的に進め,計6本の査読付き論文と11件の発表を行った.
1: 当初の計画以上に進展している
嫌悪の視覚的手がかりやその処理階層について明らかになっているだけではなく,経年劣化など発展的な知見も得られ,公表しているため.
本年度は各知見の総括を行い,モデルを発展させる.
一部成果の掲載費が想定より抑えられた点に起因する.本研究プロジェクトを進める中で見出された,関連する発展的課題の検証に必要な実験費用に利用する予定である.
すべて 2025 2024 その他
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 4件) 備考 (1件)
Perception
巻: 54 ページ: 309~317
10.1177/03010066251315831
Journal of Experimental Psychology: Human Perception and Performance
巻: 51 ページ: 50~69
10.1037/xhp0001253
THE JAPANESE JOURNAL OF EXPERIMENTAL SOCIAL PSYCHOLOGY
巻: - ページ: -
10.2130/jjesp.2410
F1000Research
巻: 12 ページ: -
10.12688/f1000research.130662.3
Qeios
巻: 6 ページ: -
10.32388/4CO88Y.4
Letters on Evolutionary Behavioral Science
巻: 15 ページ: -
10.5178/lebs.2024.119
https://wps.itc.kansai-u.ac.jp/kyssk/
すべて 2026
https://doi.org/10.13039/501100001691
https://osf.io/m8hvk/
10.17605/OSF.IO/M8HVK
JP22K13881-2024-0001
https://osf.io/bqtf5/
10.17605/OSF.IO/BQTF5
JP22K13881-2024-0002
https://osf.io/fn9xa/
10.17605/OSF.IO/FN9XA
JP22K13881-2024-0003
https://osf.io/u6swb/
JP22K13881-2024-0004
https://osf.io/sr7tn/
JP22K13881-2024-0005
https://osf.io/sr3x8/
10.17605/OSF.IO/SR3X8
JP22K13881-2024-0006