研究実績の概要 |
・絡み目のS_m^N交差交換と多項式不変量の研究 本研究では, HOMFLYPT多項式とKauffman多項式のそれぞれの場合に, 任意のsに対して, 任意の絡み目の0番からs番までの係数多項式が一致する絡み目の無限族が存在することをS_m^N交差交換を導入することで示した. さらに, 自明な結び目のある図式のある交差点におけるS_m^N交差交換で得られる対称性のある結び目の無限族K_m,l^Nは, (N,m,l)=(1,0,0)を除いて, すべて素な結び目であることを示した. 本研究により, pが大きい場合の(p,q)ケーブルΓ多項式に関する予想が得られた.
・結び目の4移動距離の研究 本研究では, 結び目の4半ひねりを0半ひねりに変形する操作とその逆の操作である4移動という局所変形を考える. 4移動が結び目解消操作であるかは未解決問題であるので, 無限大も許容して結び目の4移動距離を4移動で移り合うのに必要な4移動の最小回数で定義する. 先行研究として, 9交点までの結び目の4移動結び目解消数の表を作成した. 本研究では, 7交点までの結び目の4移動距離の表を作成した. さらに, 任意の正整数nに対して, 4移動距離がnになる結び目の無限族K_nを構成した. 本研究は, 金信泰造氏(大阪公立大学)との共同研究である.
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今後の研究の推進方策 |
・絡み目のS_m^N交差交換と多項式不変量の研究 pが大きい場合の(p,q)ケーブルΓ多項式を実際に計算することは困難なので, ケーブル結び目の局所変形とΓ多項式に関する良い関係式を発見することが, 今後の目標である.
・結び目の4移動距離の研究 結び目の4移動距離の表には未決定のものがいくつか存在しているので, それらの決定に向けて, 結び目不変量, 特に多項式不変量やその特殊値で有用なものがないか研究する.
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次年度使用額が生じた理由 |
物品費について, 購入予定だったパソコンの性能が想定より低かったので購入しなかったが, 研究で使える良いものが発売されたら, 2024年度に購入する予定である. その他の費目に関しては, 研究計画調書に基づき使用する予定である.
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