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2023 年度 実施状況報告書

結び目のゼロトレースとスライス・リボン予想

研究課題

研究課題/領域番号 22K13923
研究機関広島修道大学

研究代表者

田神 慶士  広島修道大学, 経済科学部, 准教授 (60778174)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2027-03-31
キーワード結び目 / スライス結び目 / リボン結び目 / リボンコンコーダンス
研究実績の概要

3次元空間に埋め込まれた閉じた紐を結び目という。お皿のような円板状の図形の淵には結ばれていない結び目が現れるが、この円板を4次元空間に持っていく(滑らかに埋め込む)とその淵が複雑に結ばれた結び目になることがある。このような結び目をスライス結び目という。スライス結び目は結び目と4次元幾何学の関係を記述する際に頻繁に登場しており、4次元の図形を理解する上で重要な対象とみなされている。本研究ではスライス結び目の特徴づけを与える問題「スライス・リボン問題」の解決を主目的としている。
当該年度は、スライス・リボン問題への新たなアプローチとしてリボンコンコーダンス半順序集合の極小元の解析を行った。特に、二橋結び目がその二重分岐被覆で特徴づけられることと、幾何化定理の応用として二橋結び目の極小性を完全決定した。その応用として、種数1の二橋結び目や正の二橋結び目は極小元になることを証明している。これらの研究成果は国際論文雑誌に掲載された。また同論文の中で、強擬正結び目が極小元からいくらでも(ある意味で)遠い位置に存在しうることも考察している。正結び目はリボンコンコーダンス半順序集合において極小元になると予想されているが、正結び目は強擬正結び目なので、この考察はその極小性決定の難しさを示唆している。
加えて、昨年執筆した強擬正ファイバー結び目の極小性に関する論文がアクセプトされ国際論文雑誌に掲載予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

科研費申請当初はゼロトレースの観点からスライス結び目の性質を調査する予定であったが、リボンコンコーダンスを用いた研究へ重点を置いた。そのため、自己評価は「やや遅れている」とする。しかしながら、リボンコンコーダンス半順序集合の極小元に着目した研究については一定の結果がでており、研究論文の執筆は順調に進んでいる。

今後の研究の推進方策

昨年に引き続き、リボンコンコーダンス半順序集合における極小元の特定を行う。特に、この半順序集合が帰納的かどうか、に焦点を当てて解析を行う。帰納的であれば、ツォルンの補題によりいかなる無限降下列に対しても極小元の存在が言えるため、極小元や最小元の存在の問題解決に役立つ。スライス・リボン問題は単位元を含む、リボンコンコーダンス半順序集合の連結成分における最小限存在問題ととらえることができるため、この半順序集合の極小元に関する研究を通して、スライス・リボン問題の解決を目指す。

次年度使用額が生じた理由

所属機関の業務の都合により、予定していた学会への参加が取りやめとなったため、旅費支出が想定よりも少なくなった。また、消耗品やデジタル機器の購入の必要性が生じなかったことも要因として挙げられる。それに加え、一昨年から繰り越されてきた予算が上乗せされているため次年度使用額が生じた。
次年度も同程度の金額を使用する予定だが、パソコンやプリンタ等の不調による買い替えが発生する可能性があるため、繰越金はそれらに充てる。これ以上繰越額が増えるようであれば返還を検討する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Remarks on the minimalities of two-bridge knots in the ribbon concordance poset2023

    • 著者名/発表者名
      Tagami Keiji
    • 雑誌名

      Bulletin of the Belgian Mathematical Society - Simon Stevin

      巻: 30 ページ: 317--327

    • DOI

      10.36045/j.bbms.230312

    • 査読あり
  • [学会発表] リボンコンコーダンス半順序集合と極小元2023

    • 著者名/発表者名
      田神慶士
    • 学会等名
      東京理科大学創域理工学部数理科学科談話会
    • 招待講演

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公開日: 2024-12-25  

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