研究課題/領域番号 |
22K13927
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
阿部 圭宏 東北大学, 理学研究科, 准教授 (50814109)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | 2次元random interlacements / late point |
研究実績の概要 |
2次元離散トーラス上の単純ランダムウォークを被覆時間(単純ランダムウォークがトーラスのすべての点を訪問し尽くすまでの時間)の定数倍時刻まで走らせたとき,単純ランダムウォークがまだ訪問していない点(late point)はクラスターを形成する, つまりlate pointのまわりには他のlate pointが比較的多く存在することが知られている(Dembo-Peres-Rosen-Zeitouni '06, 岡田 '19) .このlate pointまわりの様子を調べる1つの方法として,2次元random interlacementsと呼ばれる確率モデルが 導入された(Comets-Popov-Vachkovskaia '16) .このモデルは,原点に到達しないように条件づけられた多数の2次元格子上の単純ランダムウォークの軌跡を用いて構成される.Comets氏らは実際, 原点がlate pointであるという条件付けのもとでのlate pointの集合の法則は2次元random interlacementsの補集合の法則で近似できることを示した.本研究では, Comets氏らの結果をより強め,late pointの集合を2次元random interlacementsの補集合で近似できるようなカップリングを構成できることを証明した. 証明の鍵となるのはsoft local timeの方法(Popov-Teixeira '15)である.このカップリングにより, 比較的扱いやすい2次元random interlacementsの性質を調べることで, 比較的扱いづらいlate pointの集合を解析できることが期待される.本研究結果に関する論文を執筆中である. また, 確率論セミナーにおいて本研究に関する口頭発表を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2次元離散トーラスのlate pointの集合を2次元random interlacementsの補集合で近似できるようなカップリングの構成に成功し, 本成果に関する論文執筆を着実に進め, セミナーにおいて口頭発表もできたため.
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今後の研究の推進方策 |
2次元離散トーラスのlate pointの集合を2次元random interlacementsの補集合で近似できるようなカップリングを応用して, late pointの集合の性質を詳しく調べる. 2以上の整数bに対して, b分木上の単純ランダムウォークの局所時間に対応する極値過程が,あるランダム測度を強さ測度としてもつポアソン点過程の各アトムに独立同分布なある点過程を付加したものに収束することを示す.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスにより, 海外渡航や研究集会の対面参加に一定の制限があったため, 旅費の使用が予期したよりも少なかったため. 次年度は海外渡航や研究集会の対面参加の制限は緩和されるため, 国内外の研究集会に積極的に参加し, 大部分を旅費として使用する予定である.
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