本プロジェクトでは、石川県内の旅館のInstagramによる発信内容に対して、機械学習モデルによるテキストデータ解析を行った。対象とした旅館は、和倉温泉加賀屋(七尾市)、川端の湯宿滝亭(金沢市)と山代温泉瑠璃光(加賀市)の3つである。各旅館のSNS発信における頻出単語を調べると、加賀屋では「加賀屋、和倉温泉」の出現回数が特に多く、自社の宣伝に力を入れていることがうかがえる。また、「花火、夏」という単語も多く、イベントに合わせて旅館にお越しくださいという姿勢も推測できる。滝亭では「金沢、滝亭」の出現回数が特に多く、石川県の中でも能登や加賀ではなく「金沢」に旅館を構えているということが強調されている。また「コロナ」という単語が3番目に多く、コロナウイルスに関する対応や近況などの情報を利用者に発信していることがうかがえる。また「新聞」という単語が多いのは興味深い。これは、滝亭新聞という特徴的なワードを定期的に使用することで、フォロワーの記憶に残りやすくしている可能性がある。瑠璃光では「葉・渡・莉」、という単語が多くみられるがこれは、これは加賀・山城温泉の中程に佇む「葉渡莉」がハッシュタグでともに投稿されることが多く、よろづや観光運営による宣伝の一環であると考えられる。宿泊施設毎に情報の発信内容は大きく異なり、その独自の魅力も様々である。このことは、単語の相関関係をみても明らかである。例えば滝亭の場合には、各単語グループの中心に「犀川」が位置しており、人工物ではなく自然が中心的な役割を演じていることが推測できる。今後は、観光客1人1人が、各旅館のSNS情報を自分で解析して、その魅力をうまく汲み取ることで、より観光を楽しめるようになると期待できる。
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