• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2023 年度 実施状況報告書

複雑な金融モデルに対応する数値計算手法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 22K13965
研究機関東京都立大学

研究代表者

湯浅 智意  東京都立大学, 経営学研究科, 准教授 (80875914)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2027-03-31
キーワードElection strategy / Winning probability / Informational strategy / Signal processing / Bayesian statistics / KL divergence / Newton--Raphson method / Gauge theory
研究実績の概要

2023年度は1本の論文を出版し,1本の論文を再投稿した.(a)Dorje C. Brody氏(University of Surrey)との共同研究「Three-candidate election strategy」をRoyal Society Open Scienceから出版した.候補者が3名以上いる選挙を考える.ある候補者が選挙で将来勝利する確率を「(i)各候補者の現在の支持率,(ii)各候補者の相対的な政治的立場,(iii)選挙までの残り時間,(iv)現在から選挙当日までに有権者に情報が開示される割合」の関数としての数理モデルを構成した.モデルによると,候補者が2名の場合,現在の支持率が50%を上回っているならば情報を開示しない,下回っているならば情報を開示することが最適戦略となるが,候補者が3名以上の場合,このような自明な最適戦略は存在しない.特に,政治的立場が中央に位置する候補者は将来勝利することが困難になることが示された.(b)Ryo Nakamura氏(Tenchijin Inc.)とTakafumi Amaba氏(Fukuoka University)とJun Fujiki氏(Fukuoka University)との共同研究「Simple Variational Inference Based on Minimizing Kullback--Leibler Divergence」を再投稿した.統計モデルを固定し,パラメータに対する事前分布を変化させ,ベイズ統計モデルから真の分布を推定する手法を開発した.また,確率シンプレックス上のリーマン幾何学に基づいて,事前分布をシミュレーションするためのNewton--Raphson methodを開発した.この手法は,真の分布に関する知識がなくても,真の分布からサンプルを得ることさえできれば適用が可能である.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

本科研費では主に確率的な数値計算手法であるUnbiased simulation methodの開発を目的としている.現在進行しているProjectは次の通りである.(1)Bally-Kohatsu (2015)のBackward型のUnbiased simulation methodに対するSecond order unbiased simulation methodの開発.(2)Henry-Tan-Touzi (2017)のUnbiased simulation methodに対するSecond order unbiased simulation methodの開発.(3)Unbiased simulation methodの新しい分散減少法の提案.(4)反射壁確率微分方程式に対するSecond order unbiased simulation methodの開発.(5)ラフボラティリティモデルに対するKLNV法(K-scheme)の開発.(6)中央主権型交換所(CEX)と分散型交換所(DEX)が共存する市場モデルの構築.(7)共同研究「Three-candidate election strategy」の続き.現在までの進捗状況は次の通りである.(1),(2)は共同研究者の遅延・離脱により進捗が遅れている.(3),(4)は前回から進捗していない.(5),(6),(7)はいずれも週一でセミナーを実施しており,順調に進んでいる.当初予定していた非整数ブラウン運動に関する研究は方針を(5)に切り替えている.また,当初予定していた「離散時間市場モデルにおけるアメリカン(バミューダン)オプションに対する深層学習を用いたヘッジ手法の開発」は責任著者の放棄により頓挫,「極性タグ付き金融文書を用いて単語に極性スコアを自動で付与する手法の開発」は責任著者の意向により停滞している.

今後の研究の推進方策

(5)→(7)→(6)→(1)→(2)→(3)→(4)の優先順位で取り組む.(5)において,ラフボラティリティモデルは非マルコフであるため,直接KLNV法を適用することはできない.そこで,ラフボラティリティモデルに対するMa-Yang-Cui (2021,arxiv)の無限次元セミマルチンゲール近似をmodifyしたマルコフな有限次元セミマルチンゲール近似を導入することで,KLNV法の適用を試みる.(7)において,共同研究「Three-candidate election strategy」では,選挙で将来勝利する確率の関数の引数である情報(iv)を一色単にして考えていた.本研究では,各候補者が発進する情報に分け,さらに,メディアといった情報やフェイクニュースといった偽情報を加えることで,より現実に則した数理モデルを構成する.(6)において,CEXとDEXが共存する市場モデルを構成し,各々のプレーヤー(Traders, Arbitrageur, Liquidity Providers, Platformer)の最適な行動を議論する.(1),(2)において,各々のUnbiased simulation methodに対して,Andersson-Kohatsu-Yuasa (2020)のSecond order methodの適用を試みる.(3)において,Unbiased simulation methodにおける無限和と時間に関する多重積分をRenewal過程を用いて確率表現を与えるのではなく,各々に分けて確率表現を与えることで,新しい分散減少法を考える.(4)において,反射壁確率微分方程式に対するUnbiased simulation methodに対して,Andersson-Kohatsu-Yuasa (2020)のSecond order methodの適用を試みる.

次年度使用額が生じた理由

事務に依頼していた金額データに一部訂正があったため.

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2024 2023 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) 備考 (4件)

  • [国際共同研究] University of Surrey/Imperial College London(英国)

    • 国名
      英国
    • 外国機関名
      University of Surrey/Imperial College London
  • [雑誌論文] Three-candidate election strategy2023

    • 著者名/発表者名
      Dorje C. Brody, Tomooki Yuasa
    • 雑誌名

      Royal Society Open Science

      巻: 10 ページ: -

    • DOI

      10.1098/rsos.230584

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] Second order unbiased simulation methods for Bally-Kohatsu's backward type and Henry-Tan-Touzi type2024

    • 著者名/発表者名
      Tomooki Yuasa
    • 学会等名
      Winter Workshop on Operations Research, Finance and Mathematics, 2024
  • [学会発表] 分散型交換所の価格決定メカニズムと関数形に関する研究2023

    • 著者名/発表者名
      Manami Takeichi
    • 学会等名
      ファイナンスプログラム 2022年度研究発表会(東京都立大学 金融工学センター 第74回研究会)
  • [備考] researchmap

    • URL

      https://researchmap.jp/to-yuasa

  • [備考] researchmap

    • URL

      https://researchmap.jp/to-yuasa?lang=en

  • [備考] Google Scholar

    • URL

      https://scholar.google.co.jp/citations?user=xyyxR8kAAAAJ&hl=ja

  • [備考] 東京都立大学 教員紹介

    • URL

      https://www.tmu.ac.jp/stafflist/data/ya/31719.html

URL: 

公開日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi