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2022 年度 実施状況報告書

混合または結合で閉じた量子測定および量子操作の数学的構造に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 22K13977
研究機関九州大学

研究代表者

倉持 結  九州大学, 理学研究院, 助教 (90773169)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2027-03-31
キーワード量子情報 / 量子チャンネル / 量子測定 / 保存則 / リソース理論
研究実績の概要

本年度の研究では,保存則という制限のもとでの量子測定およびユニタリチャンネルといった基本的な量子操作の実現可能性について理論的な研究を行った.その結果,保存量と非可換な物理量の射影測定が実装不可能であるというWigner-Araki-Yanaseの定理(WAY定理)を,無限次元系・非有界保存量に対して一般化した.先行研究におけるWAY定理の証明においては,物理系の有限次元性や保存する物理量の有界性が仮定されており,無限次元系の運動量やエネルギーといった物理的に基本的かつ興味深い例を扱うことができないという問題点があり,本研究成果はこの点を改善するものとなっている.また,ユニタリチャンネルの実装に関しても無限次元系におけるWAY型定理を発見し,証明した.その結果発見したこととしては,有限次元系では実装されるユニタリチャンネルと保存量は可換でないといけないが,無限次元系のユニタリチャンネルにおいては保存量と実装されるユニタリは必ずしも可換である必要はなく,ユニタリチャンネルによって保存量が定数だけずれることがありうる.後者の場合の,運動量保存における簡単な具体例も発見した.これらの結果の数学的証明においては,量子チャンネルのmultiplicative domainの持つ性質を用いる新しい手法を用いた.以上の成果は保存則という,基本的な物理法則が量子操作に与える制約が無限次元系においても存在することを示すものであり,新たに見出した証明手法とともに基礎的な意義を持つものである.本内容は論文にまとめた上で,現在学術誌に投稿中である.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度の成果は量子操作の物理的実装に関する研究テーマに属する.当初の研究計画からは予測をしなかったものであるが,十分な進展があったと考えている.

今後の研究の推進方策

Wigner-Araki-Yanaseの定理を定量的なトレードオフ関係に一般化するとともに,半群をなす量子操作の一般論の研究を進める.

次年度使用額が生じた理由

海外学会の出張費がインフレ等により当初の見積もりを上回ったため,予定していた計算機の購入を中止し既に所有しているもので代替した結果予算が余った.これらの予算は自年度以降の出張費に充てられる予定である.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023 2022

すべて 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] Proof of the Wigner-Araki-Yanase theorem for unbounded conserved observables2023

    • 著者名/発表者名
      Yui Kuramochi, Hiroyasu Tajima
    • 学会等名
      Quantum Information Processing 2023
    • 国際学会
  • [学会発表] 非有界な保存量に対するWigner-Araki-Yanaseの定理の証明について2022

    • 著者名/発表者名
      倉持結、田島裕康
    • 学会等名
      第47回量子情報技術研究会

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公開日: 2023-12-25  

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