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2022 年度 実施状況報告書

2電子原子アレイのRydberg状態を用いた誤り耐性量子計算

研究課題

研究課題/領域番号 22K13982
研究機関早稲田大学

研究代表者

小西 秀樹  早稲田大学, 理工学術院総合研究所(理工学研究所), その他(招聘研究員) (20934235)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2027-03-31
キーワード冷却原子 / 単一原子アレイ / Rydberg原子
研究実績の概要

本課題研究開始時までに、イッテルビウム(Yb)原子によるRydberg原子アレイ構築のため、Ybの同位体174Yb原子の音響光学偏向器(AOD)対を用いた単一原子トラップは成功しており、さらにAODによるアレイの再配列を実装し、一次元および二次元での無欠損単一原子アレイも実現していた。また、単一Yb原子を基底状態から準安定3P2状態を介してRydberg状態へと励起することにも成功しており、これらの成果をまとめた論文はJournal of Physical Society of Japan誌に掲載された。
今年度はまず、単一原子イメージングの改善に取り組んだ。これまでは狭線幅の1S0-3P1遷移(波長556nm)を用いて、冷却と発光が同時にバランスするようなパラメータでイメージングを行っていたが、より高いフィデリティのイメージングを実現するため、556nmでは冷却のみを行い、1S0-1P1遷移(399nm)で発光を行えるように399nm用の高NA対物レンズを追加し、399nmでの発光イメージングに成功した。また将来の量子計算への応用を見据え、核スピン1/2をもつ同位体171Ybの光ピンセットアレイへの単一原子トラップ、イメージングにも成功している。
年度の後半はアレイのさらなる大規模化を目指し、空間光変調器(SLM)を用いたトラップを構築した。AODによる再配列プロトコルと組み合わせることにより、大規模な無欠損単一原子アレイを実現できる。また準安定3P2状態に加え、3P0状態を用いた量子計算スキームの実装に向けて、基底状態と3P0状態の間でのライトシフトをキャンセルする、いわゆる魔法波長759nmの光源の準備も行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初の計画では、採用1年目に1量子ビット操作の確立を目指していた。計画書で提案していたように量子ビットとして用いる可能性のある2つの同位体174Ybおよび171Ybのトラップ、イメージングに成功したものの、1量子ビット制御のためには光ピンセット中でのさらなる冷却が必要である。その方法を開発途中で研究代表者が所属を変えることになったため、目標達成には到らなかった。

今後の研究の推進方策

年度の最後に研究代表者の所属が変わったため、今後はRydberg状態を使う方針から転換し、共振器量子電磁力学(Cavity QED)を用いた量子計算の実現を目指す。特にナノファイバー共振器によるCavity QEDを用いて、ファイバーネットワークによる分散型量子計算を実現することで量子ビットの大規模化を可能にする技術を開発する。量子ビットとしては引き続き光ピンセット中の単一Yb原子を用いた方式を検討する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] High-resolution Spectroscopy and Single-photon Rydberg Excitation of Reconfigurable Ytterbium Atom Tweezer Arrays Utilizing a Metastable State2022

    • 著者名/発表者名
      Okuno Daichi、Nakamura Yuma、Kusano Toshi、Takasu Yosuke、Takei Nobuyuki、Konishi Hideki、Takahashi Yoshiro
    • 雑誌名

      Journal of the Physical Society of Japan

      巻: 91 ページ: 084301

    • DOI

      10.7566/JPSJ.91.084301

    • 査読あり
  • [学会発表] 空間光変調器を用いた単一イッテルビウム原子の光ピンセットアレイトラップ2023

    • 著者名/発表者名
      草野透志、中村勇真、Christian Gnandt、尾崎凌明、奥野大地、高須洋介、小西秀樹、高橋義朗
    • 学会等名
      日本物理学会2023年春季大会

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公開日: 2023-12-25  

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