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2023 年度 実施状況報告書

2電子原子アレイのRydberg状態を用いた誤り耐性量子計算

研究課題

研究課題/領域番号 22K13982
研究機関早稲田大学

研究代表者

小西 秀樹  早稲田大学, グリーン・コンピューティング・システム研究機構, 客員次席研究員(研究院客員講師) (20934235)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2027-03-31
キーワード冷却原子 / 共振器量子電磁力学
研究実績の概要

中性原子アレイと光ナノファイバー共振器を用いた量子計算に向けた開発を行った。まずは原理実証実験のためのCs原子を用いた装置の改良を行った。これまでの装置はナノファイバー共振器を入れた真空チャンバー内部をCsのガスで満たして磁気光学トラップ(MOT)を行っていたが、Csのガスの吸着によりナノファイバー共振器の急速な劣化が観測されたため、共振器近傍でのMOTへのCs原子の供給方法を変更した。具体的には作動排気チューブで接続したチャンバーを増設し、その内部をCsガスで満たしソースチャンバーとした。ソースチャンバー内で2次元MOTを行い、共振器の入ったメインチャンバーへは2次元MOTからプッシュビームで冷却されたCs原子のみを押し出しそれを再びナノファイバーの付近で3次元MOTで捕獲する方法に変更した。これまでは原子の供給開始から1週間ほどで劣化していた共振器が、この方法に変更後約4ヶ月経った現在も劣化せずに同じフィネスを保っている。
さらに光ピンセットアレイ生成に向けた光学系を組み上げた。これまでは単一の光ピンセットによるトラップだったが、今後の拡張性を考慮し、空間光位相変調器(SLM)を導入した光ピンセットアレイの生成が可能な系に変更した。CCDカメラにより光ピンセットアレイの生成確認までは完了している。
また、より堅牢な中性原子量子ビットとしてYb原子を用いたナノファイバー共振器系の設計も行った。特にナノファイバー共振器の手軽なインストールが可能で、光ピンセット生成のための外付け対物レンズが設置可能なサイエンスチャンバーをデザインした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

2023年1月に課題推進者の所属が変わったため、装置の新たな立ち上げが必要となった。また既存のナノファイバー共振器のシステムでは、原子の供給方法に問題があることが明らかとなったため、装置の大幅な改造が必要となった。

今後の研究の推進方策

Cs原子の装置では、光ピンセットへの原子のローディングを行っていく。空間光位相変調器(SLM)を用いて光ピンセットアレイをナノファイバー上に生成し単一原子を捕獲する。その際MOTとナノファイバーを空間的に重ねる必要があるため、それにより再びCs原子吸着による共振器の早期劣化が問題となる可能性がある。その場合のバックアップとして、SLMによって自由空間に作成した静的な光ピンセットアレイから、音響光学回折器(AOD)による動的光ピンセットにより単一原子だけをナノファイバー上へと運ぶスキームを確立する。ナノファイバー上に単一原子を並べられた後は共振器と原子の相互作用を共振器分光により確認する。
またYb原子の装置は真空装置およびレーザー系の立ち上げを行い、原子のレーザー冷却およびトラップ、ナノファイバー近傍での単一原子トラップを実装する。

次年度使用額が生じた理由

本年度は装置の改良および設計がメインの内容だったため、研究費の使用額が計画より大幅に少なくなった。次年度では実際に装置を組み上げて行くためより多くの物品を購入していく予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2024

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] Development of Fabrication and Installation Methods for Nanofiber-based Cavity for Cavity Quantum Electrodynamics Experiments2024

    • 著者名/発表者名
      Shanjou Yang, Seitaro Horikawa, Tomofumi Tanaka, Hideki Konishi, Akihisa Goban, Takao Aoki, Shinya Kato
    • 学会等名
      応用物理学会春季学術講演会

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公開日: 2024-12-25  

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