研究課題/領域番号 |
22K13993
|
研究機関 | 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構 |
研究代表者 |
中村 徹哉 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 研究開発部門, 主任研究開発員 (70868059)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 熱輻射発電 / 太陽光発電 / 半導体 / 輻射再結合 / 非輻射再結合 / 狭ギャップ材料 |
研究実績の概要 |
本研究課題は,太陽電池素子と同様の構造を用いて,太陽光エネルギーではなく暗状態で熱エネルギーを電気エネルギーに変換する熱輻射発電技術に関するものである.近年,太陽電池材料である半導体の高品質化が進み,それに伴い,半導体が本来持っている特性が実現されつつあり,このような背景から熱輻射発電に注目が集まっている.この熱輻射発電の最大の特徴は,地球の熱エネルギーを深宇宙に向けて放出することなどにより,夜間の発電が可能になる点である.本発電素子は太陽電池として昼間には光発電も可能であることから,昼夜に亘る電源として用いることができると期待される. 2022年度は3カ年計画の1年目で,熱輻射発電効率向上の指針となり得る理論モデルの構築や実用的なデバイス構造の提案に向けて,主に実験系の構築に取り組んだ.実験系は所属機関が所有する極低温真空チャンバーに,本資金で購入したヒータ,温度調節器,フランジ等を取り付け,構築した.構築した実験系を用いて熱輻射発電実験が実施可能か,ガリウムアンチモン太陽電池を用いて検証を行った.太陽電池の周囲は極低温真空チャンバーのシュラウド温度をおよそ100ケルビンに冷却することで深宇宙を模擬し,太陽電池の温度はヒータを用いて変化させた.周囲の温度に対して太陽電池温度を高くすると,太陽電池の発電が確認された.また太陽電池温度を変化させることで発生電流が変化することを確認し,その傾向が理論モデルと合致していることから,構築した実験系を用いて本研究の実施が可能であることを確認した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題では,インジウムガリウムリンをベースとする発電素子を対象とする計画である.発電素子の準備に時間を要しているが,計画には支障のない範囲と判断している.
|
今後の研究の推進方策 |
2023年度は,構築した実験系を用いた各種実験を計画している.インジウムガリウムインをベースとする複数の発電素子を作製し,それらの特性等から,非発光再結合・オージェ再結合・吸収率・表面光学特性等が熱輻射発電特性に及ぼす影響を定量化する(当初の研究計画から変更はない).
|