研究課題/領域番号 |
22K13997
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
藤本 純治 埼玉大学, 理工学研究科, 助教 (10794878)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | スピン渦度結合 / 粘性流体 / 渦度 / スピン軌道相互作用 / スピンHall効果 |
研究実績の概要 |
本研究の目的である電流渦による磁性制御の基礎理論の構築を目指して,本年度はスピン電流渦度結合の微視的理論による導出という課題に取り組んだ。昨年度はスピン渦度結合を生み出しうる微視的ハミルトニアンを有効場の理論を用いて波数に対する依存性を明らかにしていたが、今年度は特殊相対論に基づいて具体的にその依存性を満たすハミルトニアンを導出に成功した。この導出に際して、他にも興味深い相互作用を与えるハミルトニアンを得ることができ、予想外の発展が見られた。また、これらの成果をまとめた学術論文の執筆を行なっている。さらに、有限要素法を用いてノッチ構造がある場合の電流の分布を電子流体の方程式に基づいて数値的に解き、それから渦度分布を求めてノッチ構造の幅や長さ、曲率半径を変えることで渦度が増強されることを見出し、その定量的な式を導いた結果も論文にまとめている。スピン渦度トルクの微視的導出にも取り掛かっていおり、準備段階ながらSterng-Gerlach効果に相当するスピントルクが得られている。 そのほかに、昨年度プレプリントとして発表した、スピン軌道相互作用によって生じるスピンHall効果により電流が粘性流体としてふるまう内容の論文について国際会議と国内学会において発表を行った。 また、f電子系のDyへのスピンポンピング効果の論文が Applied Physics Express に、強磁性とスピン軌道相互作用が競合することでスピンHall効果に磁化依存性が生じることを示した論文がPhysical Review Bに掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度は当初の計画以上に進展していたが、今年度は出産育児と教育業務により研究時間が減ってしまったため、計画通りの進展具合に戻った。
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今後の研究の推進方策 |
現在のところ研究計画を実行するにあたって特段の解決すべき問題は見つかっていないので、計画通りに実行する。
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次年度使用額が生じた理由 |
少額だったため。物品購入費と旅費として使用する。
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