研究実績の概要 |
本研究では(111)配向性をもつペロブスカイト酸化物薄膜を作成し、疑ハニカム構造をとるヘテロエピタキシャル界面、固-液界面におけるキャリア濃度、スピン軌道相互作用を制御することにより、新奇物性を探索することを目的としている。初期段階として、すでに(001)での知見を多く得ているSrVO3成膜から着手した。初年度、ペロブスカイトのBサイトをd1の電子配置をもつより重い元素に置き換えることによりスピン軌道相互作用の強さを替得ることを目的として、SrMO3(M=V,Nb,Ta)を成膜した。SrVO3(111)の成膜を行った。異なる基板SrTiO3, LSAT, LaAlO3について成膜した。厚膜で同じPLD、基板(SrTiO3)を使った場合とくらべて移動度が1/10程度低い値をえた。格子ミスマッチの小さい基板LSATではSTO上に比べ一桁大きな移動度となった。 SrNbO3(111)についてはLSATとSTO上で成膜を行い、輸送特性を測定中である。(001)(111)STO上で成膜したSrNbO3は非常に高い移動度(>104cm2/Vs)が観測された。成膜中のNbの基板への拡散による効果が疑われたため、SIMS測定を行った。Nbは基板内部へ高温成膜ほど拡散し、SrTiO3:Nb層を形成することが確認された。LSAT上の成膜結果については、(001)面方位上の結果と比較を行っていく。 SrTaO3については、(001)(111)LSAT上に基板温度、膜厚を制御して成膜を行った。膜厚低下に伴う金属絶縁体転移を観測した。配向性については(001)は30nm付近で移動度最大値を示した。一方、(111)では、膜厚が上昇するほど移動度が増加するふるまいがみられた。
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