研究実績の概要 |
本研究では、これまでB→D(*)τνとB→D(*)lν (l = e, μ)の崩壊頻度の相対比RD(*)の測定で兆候があったレプトン普遍性の破れの有無を明らかにし、新物理の発見を目指す。 本年度では、Belle II実験のデータを用いる初めてのRD(*)の測定を行った。信号事象の選択の最適化、二次元のフィッティングによるRD(*)の決定、および主要な系統誤差の評価まで進めてきた。シミュレーションを用いて、Figure Of Merit(FOM)による信号事象の選択の最適化を行い、Belle実験の同じRD(*)の測定よりFOMは35%を向上した。二次元のフィッティングの手法を開発して、シミュレーションに基づいたRD(*)に対する感度は、Belle II実験の189 fb^-1のデータでは+17%/-16%となり、Belle実験の711 fb^-1のデータと同程度である。本解析における主要な系統誤差を評価し、最も大きな系統誤差は+10.8%/-8.0%である。Belle II実験の189 fb^-1データを用いる初めてRD(*)の測定は、統計誤差が主要な誤差となる測定であり、これから蓄積されるBelle II実験のデータが増加するとともに、RD(*)の測定の感度も向上する。これらの結果は、国際会議で招待講演として報告した。 本年度は、RD(*)解析の最終結果への収束に向けて進めた。Belle IIの初めてのRD(*)の結果は次の年度中に公表する予定である。
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