研究実績の概要 |
本研究では、これまでB→D(*)τνとB→D(*)lν (l = e, μ)の崩壊頻度の相対比RD(*)の測定で兆候があったレプトン普遍性の破れの有無を明らかにし、新物理 の発見を目指す。 本年度では、Belle II実験のデータを用いる初めてのR(D*)の測定を行った。測定したR(D*)=0.267 (+0.041/-0.039) (+0.028/-0.033)である。第一の括弧の内は統計誤差であり、第二の括弧の内は系統誤差である。これはBelle II実験の初めてのR(D*)の結果となる。R(D*)の測定感度は、Belle II実験の189 fb^-1のデータで、Belle実験の711 fb^-1のデータと同程度になった。Heavy Flavor Averaging GroupがBelle IIの実験結果を入れて、すべての実験で測定したR(D*)の平均値と標準模型の理論値に比べて、3.3σの乖離を示した。これらの結果は、国際会議で公開し、本年度中にR(D*)の結果を論文として公表する。 Belle II実験の189 fb^-1データを用いる初めてR(D*)の測定は、統計誤差が主要な誤差となる測定であり、これから蓄積されるBelle II実験のデータが増加するとともに、R(D*)の測定の感度が向上する。Belle II実験が現在363 fb^-1のデータが蓄積されている。このデータセットを用いて、RDとRD*の測定を進めた。
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