研究課題/領域番号 |
22K14064
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研究機関 | 神奈川大学 |
研究代表者 |
辻 直美 神奈川大学, 理学部, 特別助教 (50878444)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | 宇宙線 / ガンマ線観測 / X線観測 |
研究実績の概要 |
宇宙空間を満たす高エネルギー荷電粒子は宇宙線と呼ばれ、中でも数ペタ電子ボルト以下のエネルギーを持つ宇宙線は、天の川銀河系内に起源を持つと考えられてきた。特に超新星残骸における衝撃波加速が有力な粒子加速のメカニズムである。しかし、加速機構がどのように始まり、どのように終わるかは未解決問題として残されている(注入問題と最高エネルギー問題)。本研究では多波長観測を用いて、この2大問題の解明に迫る。 X線観測については、HESS J1641-463のChandra衛星とNuSTAR衛星のデータの解析、RX J1713.7-3946のNuSTAR衛星のデータ解析を主に行なった。前者はTeVガンマ線の観測からPeV程度の陽子が加速されていることが示唆されており、今回得られたX線の結果と併せて、多波長スペクトルの放射計算にも着手した。ガンマ線が陽子起源である場合、陽子陽子衝突から生じる二次電子がシンクロトロン放射を通してX線帯域にピークを持つ可能性があり、その検証を行なった。他の天体の観測公募に携わった。 ガンマ線観測については、大質量星団W43/HESS J1848-018のTeVガンマ線望遠鏡HESSのデータ解析をリードし、TeVガンマ線の詳細な空間分布を明らかにし、空間分解されたスペクトル解析を行った。 サイエンスのみでなく、HESSの解析ソフトウェアの性能評価にも貢献した。また、MeV帯域で明るい天体をリストアップした。今後、MeVガンマ線の全天マップを作成し、非熱的制動放射が検出可能な天体を議論する。 得られた結果は国内外の会議で報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は、X線、ガンマ線観測を主に用いた研究である。本研究に使用するX線データは、昨年までに観測プロポーザルが受理さてているが、今年度はまだ観測されておらず、今年、来年に観測がスケジュールされている。従ってX線のデータ解析は予定通りには進まなかった。本研究に使用するガンマ線データはTeVガンマ線望遠鏡HESSのコラボレーション内のみで取り扱うことができる。そのため、HESSを運用する機関に出向き、コラボレーションの研究員に解析の指導を仰ぐ必要があった。しかし、新型コロナウイルス感染拡大の影響で海外の研究機関への出張ができず、思うように計画を推進することができなかった。その中でも、オンラインでの研究打ち合わせを行い、徐々に研究が進んでいることから、やや遅れているとした。
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今後の研究の推進方策 |
X線観測については、今年度に新しい観測がスケジュールされているものがあり、それらが観測され次第、データ解析に着手する。既存のデータが十分な天体については解析を進めていく。データが不足していると思われる天体に関しては、積極的に観測公募に応募する。 ガンマ線観測については、TeVガンマ線望遠鏡HESSを用いたデータ解析をこれまで通り続けていく。可能であれば、HESSを運用する研究機関や運用サイトを訪れ、TeVガンマ線のデータ解析の理解を深め、解析ツールの運用や精度向上にも貢献する。 随時、オンライン会議や対面会議により共同研究者と連絡を取り合い、研究を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
計算機の購入と、海外出張ができなかったため、その分の費用を次年度に持ち越している。
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