研究課題/領域番号 |
22K14073
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
道山 知成 大阪大学, 大学院理学研究科, 特任研究員(常勤) (40910823)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 天文学 / 宇宙線 / 宇宙物理 / プラズマ科学 |
研究実績の概要 |
本研究は、ALMA望遠鏡を用いて近傍銀河の中心にあるブラックホール周辺の高温プラズマにおける粒子加速現象の解明することを目的としている。メインとなるALMA 観測データの解析を行い、論文を執筆した。特に、研究実施計画において、「磁場測定方法の改良・母銀河成分除去」に関する論文に注力した。先行研究ですでに同様の手法で磁場強度が測定されていた近傍活動銀河核NGC1068を再解析した。そこで、100GHz帯の新しい観測点が先行研究よりも明るいことに気がついた。そのため、再解析の内容の報告が優先度が高いと判断し、優先して論文を執筆した。また、中心核以外の点であるjetにおける粒子加速の可能性が示唆される結果が得られたので、その可能性を指摘する論文を執筆した。ALMAのサーベイ観測のデータを確認している最中に、100GHz帯の明るさが時間変化している天体を発見した(GRS 1734-292)。電波強度の時間変化は、放射起源が「コンパクト」であることを示しており、ブラックホール周辺の高温プラズマが起源であると考えると辻褄が合う。この結果も重要であると判断し、サーベイ論文よりも優先して論文を執筆した。
さらに、NGC1068のデータを解析している最中に、超新星SN2018ivcのミリ波再増光を発見した。本研究の主目的とは離れるが、非常に珍しい現象であり報告の必要性が高いと判断し、関連研究として解析を優先した。理論モデルから、爆発直前の大規模な質量放出で再増光が説明できた。超新星爆発の研究の専門家らと協力して論文を執筆した。
その他の近傍活動銀河核においても、VLAとALMAのアーカイブデータを確認し観測が必要な天体に関しては観測提案書を準備した。すでに観測が終えているデータに関してはALMAの解析に着手した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
NGC1068のjetにおける粒子加速を提案する論文を、2022年9月に出版した。NGC1068に関する磁場測定に関しては、2022年度内に執筆が終了し査読論文として投稿したが、査読者からのコメントにより、重大な改善点が判明したため、現在も改訂を進めている。概ね査読者も出版に向けて好意的な姿勢を示しているため、2023年度内に出版する目処はたっている。GRS 1734-292に関しては、論文のドラフトはすでに作成済みである。現在、共同研究者からのコメントを受けて改訂中であり、2023年度内に査読論文として投稿する目処はたっている。また、関連研究の超新星爆発に関する研究課題は、すでに2023年3月に出版した。本研究課題のPIは第二著者として論文出版において貢献している。
これらを総合的に判断し、NGC1068の磁場測定のために解析したデータにおいて、「jetにおける粒子加速の可能性」と「超新星の電波再増光」という2点の予期していなかったが、研究課題として非常に重要な結果が得られたため、当初の研究計画から優先順位を変更した。また、主目的である研究課題に関しては、論文査読者からのコメントを受けて再解析を行なった。これらの2点において、研究スケジュールに変更があったが、研究成果は論文化の目処が立っているため、概ね順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、最優先課題として、NGC 1068とGRS 1734-292における磁場測定に関する論文を最優先に実施する。そのためには、論文の査読者からあげられている問題点を解決することが最優先課題である。また、ALMA望遠鏡の観測に関しては、随時観測提案書を提出し、追観測を提案する。また、これまでの研究から、ブラックホール周辺だけでなく、母銀河の性質を正しく理解することも本研究課題の遂行には必要であることが判明した。そのため、母銀河の分子ガス観測等も積極的に提案していく。
また、中心核領域におけるミリ波の「時間変化」を捉えることは、本研究課題の遂行する上で最重要である。そのため、これまでのアーカイブデータを網羅的に連続波時間変化に着目して再解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
論文の掲載料として計上していたが、査読者コメントの影響で年度内に使うことができなかったため、次年度に計上した。また、サーベイデータの解析が想定よりもデータ量が少なかったため、ハードディスクの購入の必要がなくなった。ただし、時間変化の解析を進めるためには、大容量のハードディスクが必要となるため、追加購入する。さらに、これまでの解析は手持ちのコンピューターで解析可能であったため、購入を2022年度は控えた。一方、現在研究で使用しているコンピュータの調子が悪いため、新しい端末を購入する(laptop PCとdesktop PC共に)。また、夏と冬に2回国際研究会への参加を検討している。
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