研究課題/領域番号 |
22K14089
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研究機関 | 大阪産業大学 |
研究代表者 |
大村 知美 大阪産業大学, 全学教育機構, 講師 (10879894)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 粉体 / 階層構造 / 圧密 |
研究実績の概要 |
本年度は,粒子(一次粒子)の凝集体(二次粒子)が集合した構造を持つ,階層構造ダスト塊の圧密実験および二次粒子強度の測定を行った.階層構造ダスト塊に特有な変形挙動の特徴を把握した上で,変形段階を特徴づける圧力と二次粒子強度の関係を明らかにした. 圧密実験に用いた階層構造ダスト塊サンプルは,直径4.2 μmのガラスビーズ(一次粒子)に水を添加して作成した「だま」(二次粒子)をふるい分けて取り出した,直径1-2 mmの粒子を円筒容器に流し込んで作成した.二次粒子の強度は作成条件や保管期間等によって異なったため,サンプル毎に二次粒子強度の測定も行った.比較のため,一次粒子を容器にふるい入れた均質なサンプル(以下,均質ダスト塊)も用いた.実験ではサンプルを万能試験機に取り付けたピストンで圧密し,ピストンの変位と荷重を記録した. 階層構造ダスト塊と均質ダスト塊の圧密挙動を比較すると,同じ充填率のサンプルを圧密する際必要な圧力は階層構造ダスト塊の方が大きかった.圧力・充填率の増加と共にこの圧力差は小さくなり,最終的には二種類のサンプルはほぼ同じ圧密挙動を示した.このことから,階層構造ダスト塊の圧密挙動ははじめ二次粒子の物性を反映するが,圧密がある程度以上に進むと二次粒子の影響は失われることが確認された. 二次粒子強度との関連については,階層構造ダスト塊を圧密する際必要となる圧力は二次粒子強度に依存して大きくなることがわかった.また,階層構造粒子塊の圧密挙動に二次粒子の物性が反映されるのは粒子強度の10倍程度までの圧力範囲であることもわかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ダスト塊圧密挙動の理解については,研究開始時の計画で当初二年目に予定していたダスト塊変形挙動と二次粒子強度の関係まで明らかにできた.一方で,引張強度の測定は装置開発が遅れているため未着手である.また,内部観察手法が確立されておらず,粒子状態の詳細な観察はできていないため,ダスト塊の変形・強度獲得メカニズムの解明も遅れている.
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今後の研究の推進方策 |
階層構造ダスト塊の変形挙動が二次粒子強度の影響を受けて変化していることから,ダスト塊変形の主要なメカニズムは二次粒子の破壊であることが示唆された.次年度は,ダスト塊の変形メカニズムをより詳細に明らかにするため,各変形段階におけるダスト塊の内部状態の観察を行う.観察用サンプル作成のために必要と考えられる設備・資材は購入済みであるため,まずは観察用サンプルの作成法を確立する.並行して,遅れている引張強度測定装置の開発を進め,サンプルの経験圧力と引張強度の関係についても調べる.
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次年度使用額が生じた理由 |
実験の際,万能試験機に取り付けて使用するロードセルは自前のものを新たに購入予定であったが,試験機所有者の厚意で引き続き所有者のものを借りて使わせてもらえることになった.また,粉体試料の取り扱い・保管環境をより良いものにするためデシケータ等の設備を購入予定であったが,本年度中に購入できなかった.また,引張強度測定装置の開発が遅れているため,装置作成に必要な費用を使うことが無かった.さらに,事情により学会参加方式をオンライン参加に変更したため,旅費が不要となった.以上の理由で次年度使用額が生じた.研究の遅れによって使われなかった予算は同じ目的に使用する.その他は実験に必要な物品の購入費および旅費に充てる.
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