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2022 年度 実施状況報告書

カービングの発生機構と氷河氷床の変動に与える影響の解明

研究課題

研究課題/領域番号 22K14093
研究機関北海道大学

研究代表者

箕輪 昌紘  北海道大学, 低温科学研究所, 助教 (30929435)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード氷河 / 氷床 / カービング / 氷山分離 / 氷河変動モデル / 氷震 / 写真解析
研究実績の概要

氷河・氷床からの氷損失は増加し,海洋に流出する淡水は,海面上昇や大気海洋循環に大きな影響を与えている.海や湖に流れ込む氷河(カービング氷河)でその変動が顕著である.しかしながら,カービング氷河の変動を特徴付けるカービング(氷山分離)は,複数のプロセスが相互作用することや,現地観測の困難さからその定量化,発生機構の理解,数値モデル化が遅れており,氷河・氷床変動予測における最大の不確定要素である.初年度は,南極,グリーンランド,パタゴニア,ヒマラヤといった各地域のカービング氷河で個々のカービングの定量化およびカービングに関わる諸現象の野外観測を実施した.個々のカービング現象を定量的に理解するために,写真データを解析し,カービングイベントの発生場所,規模,頻度の解析を行うコンピュータープログラムの開発を行なった.研究成果は,国内外の学会での発表や国際誌での学術論文として発表を行なっている.今後,カービングと環境要因を比較することで,カービングの発生機構を解明する.得られた結果に基づいてカービングを氷河流動モデルに組み込み,感度実験を行うことで,カービングの促進・抑制機構やプロセス間の相互作用,氷河・氷床の変動に与える影響について理解を深める.得られた知見は氷河・氷床変動予測の高精度化に貢献するものである.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

初年度は計画の通りヒマヤラ,グリーランド,パタゴニア,南極におけるカービング氷河で野外観測の実施,観測依頼によるデータの回収を行なった.カービング現象を定量的に測定するために,インターバルカメラや地震計の設置を行うとともに,カービングに関わる氷河流動速度や気象,氷河末端前の基盤地形の測定を実施した.取得したデータから定量的にカービングの頻度や規模,発生場所を解析するために,写真解析を行うコンピュータプログラムの開発を実施している.画像間の変化部分からカービング現象の特徴量の定量化を図っている.また複数台のカメラで撮影した画像から写真解析を実施し,氷河末端の三次元モデルを再現し,カービングの特徴量の定量化も行なっている.一方で,カービングの物理背景を理解するための氷河流動モデルの開発も進めており,今後カービングの時系列変化や環境要因との関わりを考察したのちに,数値モデルを応用し,カービング発生の物理背景を考察する.本研究に関係して日本雪氷学会研究発表会において一件の発表を行なった.また,Journal of Glaciologyに関連した改稿後の原稿が再査読中である.

今後の研究の推進方策

開発している写真解析のプログラムをこれまでに取得した全てのデータに適用しカービングの特徴量の解析を実施する.特にコンピューターモデルに関しては,論文としてまとめ報告する.定量化したカービングの特徴量は,気象や,海洋,湖,氷河流動といった外部要因と比較を行い,カービングの支配要因について考察を進める.これには,現在開発を進めている氷河流動モデルも用いることで解析をする.氷河流動モデルは境界条件を時間変化させることによって氷河変動を再現できるよう,さらに開発を進める.必要に応じて国内外の研究者と議論を行う.また,南極,グリーンランド,パタゴニアでは通年に渡り装置を運用中であり,データ回収が予定されている.
以上の解析結果は日本雪氷学会や日本地球惑星連合といった国内学会やIUGG, AGUといった国際学会において発表をする.

次年度使用額が生じた理由

予算使用に際して1310円の端数が発生した.来年度において旅費の一部として使用する.

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2023 2022 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Climate and Surface Mass Balance at Glaciar Perito Moreno, Southern Patagonia2023

    • 著者名/発表者名
      Minowa Masahiro、Skvarca Pedro、Fujita Koji
    • 雑誌名

      Journal of Climate

      巻: 36 ページ: 625~641

    • DOI

      10.1175/JCLI-D-22-0294.1

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] パタゴニア・淡水性カービング氷河の急速な質量損失メカニズム2022

    • 著者名/発表者名
      箕輪昌紘 ,マリウス シェーファー,ペドロ スクヴァルカ
    • 学会等名
      雪氷研究大会
  • [学会発表] Foehn winds drive surface ablation of a Patagonian glacier2022

    • 著者名/発表者名
      Masahiro Minowa, Koji Fujita and Pedro Skvarca
    • 学会等名
      AGU fall meeting 2022
    • 国際学会
  • [備考] 研究紹介ホームページ

    • URL

      https://ganmura.github.io/res_2.html

URL: 

公開日: 2023-12-25  

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