研究課題/領域番号 |
22K14102
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研究機関 | 埼玉県環境科学国際センター |
研究代表者 |
村田 浩太郎 埼玉県環境科学国際センター, 大気環境担当, 主任 (30740104)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 氷晶核 / 雨 / 降水 |
研究実績の概要 |
気候変動に伴う豪雨の増加が懸念される中で、降水過程の解明が強く望まれる。降水の開始には氷晶核としてはたらく特別なエアロゾル粒子が深く関与しているが、その知見は十分に確立されていない。本研究では降水に痕跡として残る氷晶核を対象とした観測研究を実施する。今年度は採取・分析法の検討を実施した。雨水採取装置を特注で設計し、降り始め1mm、2mm、3mmの降水試料を得ることが可能になった。2022年5月から3月に埼玉県環境科学国際センター屋上にて試料を採取し、氷晶核と主要イオン成分を分析した。比較対照として富士山頂(上空)の雲水の採取も行い、同様の計測・分析を行なった。 初期降水の分析結果から、主要イオン濃度は降水冒頭の1mmで高く次第に減少する傾向が見られ、既往の酸性雨研究と同様の結果が得られた。一方で、氷晶核数濃度については明確なパターンがないことが明らかになり、これまでにない結果が得られたと考えられる。氷晶核の数量としては、既往研究での降水中氷晶核数濃度の範囲と同程度であったが、富士山頂での雲水中氷晶核数濃度と比較した場合は高い傾向であった。上空の雲から地上の降水に至るまでの氷晶核を考察していく上での初期的なデータは得られたと考えられる。 年度末には埼玉県環境科学国際センター屋上にレーザー降水降雪計(ディスドロメーター)を設置することができた。これにより、雨滴の数密度や粒径分布、落下速度分布、降水量の情報も高時間分解能で得られるようになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
納期の遅れによってディスドロメーターの設置が年度末になったことに加え、装置付属のソフトウェアのエラーのために、年度内に降水採取と並行したデータ取得ができなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
降水の採取と並行してディスドロメーターによる計測データを取得し、氷晶核および主要イオン成分との関係性を解析する。そこから特徴的な降水イベントを抽出し、試料に含まれる微生物群の解析を実施する。また、現状使用している降水採取装置はガラスを用いたものであるが、テフロンやポリプロピレン、ポリエチレンの材質がより望ましいことが分かり、雨水採取装置の改良を実施する。上空の雲の参考データとして、富士山頂での雲水の採取と分析も継続して行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
学会等のオンライン化などにより想定より旅費が抑えられたことと、進捗状況に書いた事情により年度内に微生物解析の外注ができなかったことが理由である。次年度は微生物解析の外注費に充てるほか、雨水採取装置の改良に使用する。
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