研究課題/領域番号 |
22K14104
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
石須 慶一 兵庫県立大学, 理学研究科, 助教 (80880054)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 電磁探査 / 人工電磁探査 / 物理探査 / 電磁探査 / 比抵抗 / 火山 |
研究実績の概要 |
火山地域の地下比抵抗構造を推定するためにドローンを用いた電磁探査システムを開発している。このドローン電磁探査システムは、人間のアクセスが難しい所をカバーできるところに利点がある。この特徴のため、人間が受信機を設置する電磁探査に比べて、低コスト・高解像度で火山地下をマッピングできる探査手法となる可能性がある。 本年度の研究実績を以下にまとめる。 (1)ドローン搭載用受信機の作成:昨年度に引き続き、ドローンに搭載するための受信機を自作した。この受信機は、コイルを用い、空中で鉛直方向磁場成分を1000Hzまたは10000Hzで測定することを目標としている。コイルの大きさは、直径90cmとした。コイル線は、40芯のフラットケーブルを加工し用いた。この電線の末端をデータロガーに繋ぐことで、電位差データを記録し、この電位差データをキャリブレーションすることで磁束密度に変換する。このコイル受信機をドローンに搭載し飛行する実験を実際に河川敷で行った。実験で計測したデータは、60Hzの電源周波数の信号を明確に捉えており、磁場信号を計測可能なことを実証した。この計測結果は、今後予定している人工電流シグナルを受信できる可能性が高いことを示唆している。加えて、約10mのコイルとドローンを結ぶケーブルをドローンから約7mの地点で束ねることで支点を作成することで、ドローン飛行中に受信コイルの姿勢を安定に保つことが可能となった。 (2)送信機の整備:草津白根山から数km離れた石津鉱山跡地に設置してある人工電流送信機のメンテナンスを行った。こちらの送信機は、ドローン空中電磁探査に用いることができる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ドローンに搭載する受信機の開発を大部分進めることできた。加えて、ドローン飛行の実験を重ねることで、ドローン飛行中に受信コイルの姿勢を安定させることが可能になった。送信機に関しても整備を進めることできた。一方で、草津白根山への本ドローン電磁探査を適用できておらず、この点で計画より進捗が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
開発してきたドローン搭載用の受信機を改善させ、改善させた受信機をドローンに搭載して草津白根山へ適用予定である。草津白根山では、電流送信機がすでに設置されており、本送信機から電流を流す。ドローン受信機を本送信機近傍1kmの範囲において飛行させることで、高い空間解像度でデータを取得予定である。取得されたデータを処理し、ノイズを含むデータから信号を抽出する手法も必要である。このようなデータ処理手法を今後検討し適用する予定である。ドローン受信機で取得されたデータを最終的に逆解析することで、アクセスの問題により調査が困難であった火山地域での地下比抵抗構造の推定を目指し、この比抵抗構造から水蒸気噴火のリスクが高い場所を特定する。
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次年度使用額が生じた理由 |
草津白根山での実験が延期され、本実験に予定していた旅費を使用しなかったため差額が生じた。差額は、次年度の草津白根山での実験の旅費に使用する。
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