研究課題/領域番号 |
22K14107
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
羽田 裕貴 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 研究員 (50884029)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 河川成礫層 / 粘性残留磁化 / 東京低地 / 堆積年代 |
研究実績の概要 |
河川成礫層は、年代決定に有用な微小化石や有機物に乏しく、その堆積年代を直接的に決定することは困難であった。そこで本研究では、河川成礫層について、個々の礫の残留磁化分析による年代決定手法を確立すること、その年代決定手法に基づいて東京低地地下の過去12万年間の地層に挟まる河川成礫層の堆積年代を解明すること、東京低地下の礫層の時空間分布の解明を目的とした。2022年度までに、一つのボーリングコア試料から得た1試料について、堆積モデルと矛盾ない沖積基底礫層の堆積年代を得ることができた。 2023年度は、別のボーリングコア試料について、約10個の安山岩礫試料を検討した。しかし、年代決定に有用な残留磁化シグナルを得ることができなかった。そこで、2022年度に検討したボーリングコア試料に立ち戻り、年代データを増やすことで本手法の確度向上に努めた。その結果、新たに2つの安山岩礫試料から年代決定に有効と思われる残留磁化シグナルを得ることに成功した。さらに、年代値が得られた試料について、段階熱消磁の加熱時間による残留磁化の安定度を検証する実験を実施した。その結果、加熱時間を2倍まで延長した場合でも、礫の堆積年代に変化はなかった。一方、加熱時間を3倍に伸ばした場合、礫の堆積年代は優位に古く算出されることが明らかになった。このことは、残留磁化の消磁効率と加熱時間の関係が飽和したことを示し、本手法の実験条件を制約する上で今後検討すべき課題である。 本成果の一部は、日本地球惑星科学連合2023年大会と国際第四紀学連合2023年大会で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度は、年代決定に有効と思われる2試料を得ることができたため、目標としていた基準年代尺度の構築はほぼ達成した。そのため、「(2)おおむね順調に進展している。」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、東京低地で掘削された別のボーリングコア試料を検討し、沖積基底礫層よりも下位の礫層からのデータ取得を目指す。これによって本手法で遡れる年代の限界を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
未使用額が少額であることから、消耗品の購入等、次年度予算と合わせて使用する。
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