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2023 年度 実施状況報告書

希土類元素に富む石炭の形成機構:石炭マセラルの微量元素分析によるアプローチ

研究課題

研究課題/領域番号 22K14108
研究機関国立研究開発法人産業技術総合研究所

研究代表者

高橋 幸士  国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 主任研究員 (80762252)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード石炭 / マセラル / 希土類元素 / 微量元素分析 / LA-ICP-MS
研究実績の概要

石炭を構成するμmサイズの微細組織(有機物)は、”マセラル”と呼ばれ、その起源毎に異なる形態と物理・化学的特性を示す。本研究では、マセラルレベルの希土類元素(Rare Earth Elements: REE)のポテンシャル評価を実施し、得られた結果に基づいて、REEポテンシャルの高い石炭の形成機構や特徴の解明を目指している。今年度は、主に以下の研究を進めた。
(1) 石炭組織の顕微鏡観察とLA-ICP-MSによる局所分析:各マセラルの純粋な測定データを取得するため、石炭試料の顕微鏡観察を実施し、特にREEポテンシャルが高いと期待されるゲロビトリナイトやゲロヒューミナイト(褐炭におけるゲロビトリナイト相当)について、大型のマセラル探索を進めた。その一方、アブレーション範囲を狭めることによって、各マセラルの純粋な測定データを取得可能であるかを検討した。また、バナジウム等、REEと同様に有機物との親和性が高いとされるレアメタルも含めた測定データを取得し、解析を進めた。

(2) 測定試料の工業分析・CHNSO元素分析:LA-ICP-MSを用いて局所分析した試料の工業分析やCHNSO元素分析のデータを解析し、炭質評価や堆積環境に関する検討を進めた。現在、得られた成果をまとめ、原著論文として国際学術誌に投稿準備中である。

(3) 火山砕屑物と近傍する石炭層の調査:火山灰等の火山砕屑物と接触、または近傍する石炭層の場合、火山砕屑物から石炭層にREEが二次的に移動・濃集しやすいことが知られている。本年度は、このような産状を示す石炭層から試料を採取し、分析試料としての検討を進めた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

バナジウム等、REE以外のレアメタルに関する基礎データが得られつつあるが、大型のマセラル探索が難航しており、REEポテンシャルが高いことが期待されるゲロビトリナイトやゲロヒューミナイトの純粋な測定データの取得に至っていない。レーザー出力を調整し、アブレーション範囲を狭めることによって純粋な測定データの取得を試みたところ、30μm程度のアブレーション範囲では、少なくとも本年度検討した試料については、信号強度が低く、イットリウム以外のREEに関して信頼性の高いデータを取得出来なかった。また、本計画初年度(2022年度)における半年間の部署異動の間、研究現場から離れていた影響もあり、全体の進捗がやや遅れている。

今後の研究の推進方策

引き続き、大型のマセラル探索を進めると共に、火山砕屑物からの二次的な移動・集積により、特にREE濃度が高いと期待される石炭試料の工業分析、CHNSO元素分析、微量元素分析に関するデータの取得と解析を進める。得られた結果に基づき、マセラルレベルのREE濃度が高いことが期待される試料を用いて、必要に応じてアブレーション範囲を調整し、各マセラルの純粋な測定データの取得を試みる。これらの結果に基づき、マセラル組成と石炭のREEポテンシャルの関係性を検討し、成果を学会等で報告する。

次年度使用額が生じた理由

大型のマセラル探索に時間を要し、LA-ICP-MSを用いた測定に要する消耗品や試薬類の購入機会が少なかったため。今後は、石炭の全岩分析に係る費用に充て、REE濃度が高く、狭いアブレーション範囲でもマセラルレベルのREE測定が可能であると期待される試料の選定を進めながら、本研究目的の達成に向けた効率的なデータ取得を目指す。また、これまで得られた成果について、学会等で報告するための旅費に充てる。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 栃木県西古屋鉱床の炭素質粘土中の希土類元素の濃集2023

    • 著者名/発表者名
      実松 健造、昆 慶明、星野 美保子、髙橋 幸士
    • 学会等名
      日本地球惑星科学連合2023年大会
  • [学会発表] 栃木県西古屋鉱床のセリサイト鉱石と希土類の吸着2023

    • 著者名/発表者名
      実松 健造、昆 慶明、星野 美保子、髙橋 幸士
    • 学会等名
      資源地質学会第72回年会学術講演会

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公開日: 2024-12-25  

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