研究実績の概要 |
衛星センサーによるSO2放出率の準リアルタイム解析手法を開発するため,TROPOMI・ひまわり8号データを統合した放出率解析手法のプロトタイプの製作を実施した.福徳岡ノ場2021年噴火および西之島の2021-2022年の噴火活動について,TROPOMIで得られたSO2カラム量の分布データに,噴煙高度と風向・風速を与えることで放出率を解析した.福徳岡ノ場2021年噴火では,初期の継続した噴煙活動のフェーズとその後のスルツェイ式噴火のフェーズで,SO2放出率は10,000 ton/day以上,最大75,000 ton/day程度だったものが,1,000 ton/day以下に急激に減少していく変動を把握した.西之島では2021年8月以降,検出限界(100 ton/day)以下から1,000 ton/day程度の値で増減を繰り返しながら推移していたが,2022年7月下旬より徐々に増加し,9月には3,000-5,000 ton/day程度に達した.10月の噴火時には,日平均で最大16,000 ton/day程度の値を記録した.噴火終了後も11月までは2,000 ton/day程度の値を維持している. また,解析と並行して,SO2放出率の観測を阿蘇山や十勝岳で試みた.今後も,衛星観測の精度検証のために地上観測を行う. 得られた成果について,日本地球惑星科学連合の年会やIAVCEIの国際学術集会,IPGPと地震研究所の合同ワークショップなどで発表した.また,十勝だけの共同研究の結果について,Frontiers in Earth Science誌に投稿し,アクセプトされた.
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