研究課題/領域番号 |
22K14117
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
谷内 元 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 研究員 (00913956)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 火山 / 初生マグマ / 岩石学 / 地球化学 / 利尻 |
研究実績の概要 |
本研究は、北海道北部に位置する利尻火山の活動末期噴出物から初生マグマ生成条件(温度・圧力・マントル含水量)を抽出し、その2万年間に渡る時間変遷を追跡することで、火山活動が終了するに至るプロセスを実証的に解明することを目的として実施されている。2022年度はその第1年目にあたる。2022年度は利尻火山の活動末期の噴出物の層序の確立と分析用の試料採取を行うために、主に野外調査を実施した。 野外調査によって、利尻火山の活動末期の玄武岩質噴出物について、年代測定と化学分析用の試料をそれぞれ採取することができた。ただし、アクセスの悪い山中に存在する一部試料は採取することができなかった。これらについては翌年度以降に再び野外調査を実施し、採取することを目指す。また、層序の確立といった側面では、利尻火山の南麓に位置する野中地域において、これまで知られていなかった活動末期のテフラが観察できる露頭を新たに発見し、記載と試料採取をおこなった。この露頭ではスコリア質と軽石質の火山灰層が複数枚確認され、露頭と噴火口の位置関係などから、活動末期のマール(現在の南浜湿原やオタトマリ沼)やポン山(アララギ山、仙法師ポン山、メヌウショロポン山、オタドマリポン山、鬼脇ポン山など)の活動を記録しているものと考えられる。今後、噴出物の全岩化学組成やガラス組成の分析を進め、道北のサロベツ地方で観察される利尻火山由来の火山灰層との対比や各火山灰層の噴出場所の推定を進めることで、利尻火山の活動末期の詳細な活動史を編みたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の目標としていた試料の採取を概ね予定通りに遂行することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度も前半は野外調査を実施し、1年目に採取できなかった試料を採取する。年度後半には予定通り化学分析作業と薄片の検鏡を本格的に開始する。
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次年度使用額が生じた理由 |
報告にも書いたように、試料採取を全て終えることができなかった。そのため、年代測定に供する試料を選別しきることができず、年代測定を実施することができなかった。そのため、主に年代測定費用として積み立てていた分が残った。これらについては次年度以降に使用予定する。
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