研究課題/領域番号 |
22K14127
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研究機関 | 公益財団法人高輝度光科学研究センター |
研究代表者 |
門林 宏和 公益財団法人高輝度光科学研究センター, 回折・散乱推進室, テニュアトラック研究員 (10836414)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | H-C-N-O系物質 / 惑星深部科学 / 高温高圧力実験 / ダイヤモンドアンビルセル |
研究実績の概要 |
氷惑星である天王星と海王星の氷マントルには、水、メタン、及びアンモニアが多量に存在すると考えられている。これらの物質は、氷惑星マントル内部の高温高圧下において、重合や分子解離などの化学反応を経て多様なH-C-N-O系物質を生成することが理論予測されている。しかしながら、従来の実験的研究は、技術的困難さから単一成分を扱うものが主であり、現実的な氷惑星マントルの内部条件を再現した多成分系での研究は数例に限られているのが現状である。それゆえ、氷惑星のマントル条件下、すなわち高温高圧下においてH-C-N-O系物質がどのような挙動を示すのかは未だ明らかにされていない。そこで本研究では、氷惑星のマントル組成物質の高温高圧挙動を実験的に調べることにより、氷惑星内部において安定に存在し得るH-C-N-O系物質の探査を行うことを目的とする。 2023年度は、昨年度より開発を進めている抵抗加熱式ダイモンドアンビルセルを用いたH-C-N-O系物質の高温高圧力実験を最高1000 Kまで実施した。その結果、これまでのレーザー加熱式ダイヤモンドアンビルセルでは困難であった比較的低温領域におけるH-C-N-O系物質の重合や分子解離などの化学反応に関する新たな知見が得られ始めている。また、本装置による再現性の高い高温高圧力実験は、惑星深部科学のみならず、材料科学分野においても新たな材料の合成メカニズムやカイネティクスの解明に貢献する強力な手法であることから、共同研究による他分野での本装置の利用も開始している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究計画にあるレーザー加熱式ダイヤモンドアンビルセルを用いた高温高圧力実験に必要な物品の納期が遅れたことにより、当初予定していた一部の実験の実施が延期したため。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、H-C-N-O系物質の氷惑星内部条件下における挙動の解明のため、前述の抵抗加熱式ダイヤモンドアンビルセルとレーザー加熱式ダイヤモンドアンビルセルを組み合わせた高温高圧力実験に注力する計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
納期の都合から本年度に調達予定であった一部の物品の調達を次年度に延期したため。
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