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2022 年度 実施状況報告書

疲労強度データベースと機械学習を活用した織物複合材料の材料評価システムの開発

研究課題

研究課題/領域番号 22K14144
研究機関大阪大学

研究代表者

向山 和孝  大阪大学, 大学院工学研究科, 特任研究員 (80743400)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード一方向炭素繊維強化複合材料 / 疲労特性 / 大標本データ / 損傷進展解析
研究実績の概要

比強度,比剛性に優れる繊維強化複合材料は,車輌・航空分野にて構造部材としての用途展開が図られているが,強度や変形を支配する設計変数が多く,その損傷挙動もまた複雑であり,材料開発や設計に時間を要する.本研究は,繊維強化複合材料の疲労特性に着目し,単純構造を有する一方向繊維強化複合材料の疲労特性と数値解析手法のみから複雑構造を有する織物複合材料の疲労寿命と損傷挙動を予測し,さらにはマテリアルズ・インフォマティクスの観点からベイズ最適化に基づく機械学習により高疲労特性を有する織物複合材料の自動探索システムを開発することにより,疲労寿命と損傷挙動の関係性の解明,材料開発・設計期間の短縮化を目指している.
今年度は,(1)疲労寿命予測システムの疲労損傷モデルの構築,ならびに(2)疲労寿命予測システムの構築に向けた検討を実施した.前者では,公開文献(検索条件:一方向炭素繊維強化複合材料,片振り引張)から一方向材の疲労試験データを37シリーズ(SNプロット点数362点)抽出,集積した.この大標本データに対して引張強度による正規化手法を適用したところ,広域に分散していた疲労強度特性が比較的狭い領域に収まり,試験条件の影響を取り除ける可能性が示された.次に,正規化データに対して分散分析に基づくデータ併合手法を適用するために,日本材料学会標準に準拠した片対数直線モデルを回帰し,その回帰結果に基づきデータ併合判定を実施した.その結果,有意水準1%において17シリーズ(SNプロット点数270点)が併合可能と判定され,疲労損傷モデルの基礎データとなりうる大標本データを得た.後者では,疲労損傷モデルの構築に先駆け,一方向材の材料モデルと損傷力学に基づく有限要素法による損傷進展解析から母材の材料非線形性を考慮した一軸引張の織物積層材の損傷進展挙動を評価し,疲労寿命予測システムの構築に向けた検討を進めた.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究では3年間で4つの項目に取り組む予定である.(1)一方向材の疲労強度データベースと統計的手法による大標本データの構築,(2)大標本データに基づく一方向材の疲労損傷モデルの構築,(3)損料力学に基づく有限要素法による疲労寿命予測システムの構築,(4)ベイズ最適化による材料自動探索システムの構築と妥当性・有効性の実証
本年度の実施項目(1)では,材種は炭素繊維強化複合材料に限定したが,公開文献から抽出,集積した大標本データに対して正規化手法およびデータ併合手法を適用することで,適用範囲は試験環境,応力比,繊維配向角の制限があるが,次年度以降の実施項目(2)(3)の疲労寿命予測手法の疲労損傷モデルとなり得る大標本データを構築することができた.一方,0度材の疲労試験にも取り組んだが,妥当な結果が得られず今後の課題である.さらに,項目(2)の大標本データに基づく疲労損傷モデルの構築に先駆け,損傷進展解析による織物積層材の静的引張解析を実施し,項目(3)の疲労寿命予測システムの構築に向けた検討を進めることができた.

今後の研究の推進方策

2023年度は上記の実施項目(2)および(3)を主に取り組む予定である.
実施項目(2)については,前年度に得られた一方向炭素繊維強化複合材料の大標本データを利用して織物複合材料の疲労寿命予測手法に用いる疲労損傷モデルをSN曲線回帰モデルにより構築する.なお,引き続き,公開文献から種々の試験条件を有する疲労試験データの収集と集積,一方向材の疲労試験の実施により疲労損傷モデルの高精度化や適用範囲の明確化を図る.また,集積データの活用のため,引張強度とSN曲線回帰パラメータの相関性に着目した一方向材の疲労寿命予測手法の検討を行う.
実施項目(3)については,一軸引張荷重に基づく損傷進展解析による静的引張解析の実施と,その手法に大標本データに基づく一方向炭素繊維強化複合材料の疲労損傷モデルを実装し,織物複合材料の疲労寿命および損傷進展挙動を評価する.さらには適用する疲労損傷モデルにより疲労寿命や損傷進展挙動が変化することが予想されるため,疲労損傷モデルの影響についても評価する.

次年度使用額が生じた理由

今年度は物品費と旅費を計上していたが,研究を遂行する上で必要に応じて執行したため,当初の見込み額と使用額に差が生じた.この未使用額は2023年度に計算機の購入のために使用する予定である.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] 開繊糸を用いた熱可塑性織物複合材料の損傷進展解析に関する研究2022

    • 著者名/発表者名
      藤本真由, 向山和孝, 李興盛, 花木宏修, 倉敷哲生
    • 学会等名
      日本機械学会 M&M 2022 材料力学カンファレンス
  • [学会発表] Effect of Ply Thickness on Damage Development of CFRTP Using Spread Yarns2022

    • 著者名/発表者名
      M. Fujimoto, K. Mukoyama, X. Li, K. Hanaki, T. Kurashiki
    • 学会等名
      The 6th International Conference on Material and Reliability
    • 国際学会

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公開日: 2023-12-25  

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