本研究では,HELP(水素助長局所塑性変形)理論に基づき水素の影響をモデル化することで,アルミニウム合金の疲労き裂発生に及ぼす水素の影響を解明することを目的とした.本研究では,(1)2次元疲労き裂発生シミュレーションと(2)3次元静的引張解析を行った.(1)では,水素による「転位間相互作用の減少」と「転位の易動度の増加」をモデル化し,2次元転位動力学法に導入した.水素によって疲労き裂発生が加速することが明らかになった.(2)では,3次元転位動力学法に水素による「転位の易動度の増加」を導入た.水素が増加するほど0.2%耐力は減少するが,水素量が一定以上になると減少は飽和することが明らかになった.
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