研究課題/領域番号 |
22K14156
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
金子 和暉 茨城大学, 理工学研究科(工学野), 助教 (60909216)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | エンドミル加工 / シミュレーション / 弾性変形 / 加工誤差 |
研究実績の概要 |
R4年度はエンドミル加工における工具・被削材の弾性変形に起因する加工誤差のシミュレーションに取り組んだ.先行研究において,工具の弾性変形に起因する加工誤差のシミュレーション方法は既に確立されているが,本研究では従来方法を基に,計算を並列化しGPUを活用して高速にシミュレーションする新たな方法を提案し,論文として現在投稿中である.被削材の弾性変形については,ボクセルモデルに梁要素を導入した変形解析手法を提案した.以上の手法は論文投稿し,既に学術誌に掲載されている.加えて,被削材変形に起因する加工誤差を予測する方法も提案し,学会で口頭発表した.以上の加工誤差のシミュレーションは,本研究の目的であるモデルベースでの切削条件の最適化を実現するうえで不可能である.加えてシミュレーションの高速化は,生産現場で実用的にシミュレーション技術を活用するにあたり必須である. 工具の弾性変形を予測するうえで,工具系の剛性パラメータを実験的に導出する必要があることから,試し削りにおいて得られる加工面の加工誤差を機上で計測し,計測結果から合成パラメータを導出可能か検証を行った.加工誤差のシミュレーションを実行するにあたり十分な精度でパラメータ同定を行うことに成功し,得られた成果を学会で口頭発表した.以上の手法により,生産現場でもシミュレーションに必要なパラメータを簡便に同定できるなり,シミュレーションの運用が可能となる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
R4年度では上記の弾性変形モデルの構築に加えて,加工機とシミュレーションの連携にも取り組むことを計画していたが,モータの品薄により加工機の完成がR4年度後半に遅れた.しかし,代わりにR5年度に取り組む予定であった加工誤差のシミュレーションと剛性パラメータの同定について取り組み,これらの7割程度を完了した.加工機とシミュレーションの連携についてもR5年度前半には完了する見込みである.したがって,研究全体の進捗状況としてはおおむね順調である.
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今後の研究の推進方策 |
R5年度は構築した切削加工シミュレータと加工機を連携させることで,加工中のサーボ情報をシミュレータにリアルタイムで転送できる仕組みを構築する.そして,モニタリングされる信号から,モデルベースで加工状態を認識することを目標とする.さらに認識した加工状態に応じて,工具送り速度をリアルタイムで変更するところまで研究を進める予定である.R6年度は構築したシステムにより,加工状態に応じてリアルタイムで切削条件を最適化可能か検証を行い,必要に応じてシステムの改善を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
物価の高騰と為替の影響を考慮して,今後の研究での物品購入において問題が生じないように50万円程度を今年度に繰り越した.今後の研究では海外での研究発表を予定しており,その旅費と学会参加費に充てる予定である.
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