本研究は、定常回転で動作する微粒子含有微小液滴の生成デバイスの開発とそのメカニズム解明を目標としている。微粒子含有微小液滴の生成は、デジタルELISAといった超高感度な化学分析や、単一細胞の解析などの要素技術として応用可能である。 2023年度は、主にデジタル解析のための液体単離の条件検討を行った。液体単離を実行するU字形状のカップ構造は、より密に配置したほうが、面積当たりの単離液体数が増えてチップの集積化が見込める。そこで、液滴単離が実現可能な最小の間隔を検討した。その結果、約50ミクロン(@1800 rpm)を閾値として、それ以下では液体単離成功率が極端に低下することを確認した。一方それより大きな間隔では、高い成功率を有していることを確認した。カップ構造を1264個配置したデバイスを用いて行った実験においては、その97%となる1226個のカップにおいて単離された液体を生成可能であることを確認した。この数は、デジタル解析、つまり統計的な解析を行う上で最低限必要な数を満たしており、デジタル解析に必要な流体制御を実現したといえる。また、ビーズ懸濁液を用いた実験においては、カップ構造において、ビーズを捕捉した状態で液体を単離可能であることを実証した。
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