研究実績の概要 |
昨年度に引き続き,多孔質フィンを用いた乱流伝熱促進手法の提案とメカニズムの解明を目的とし,数値シミュレーションおよび実験を実施した. 平行平板間ポアズイユ流(チャネル流)に対して多孔質フィンを導入した流れを直接数値シミュレーションにより調査した.数値計算手法について,昨年度に引き続き埋め込み境界法を用いた高次精度差分法による解析を実施するとともに,新たに非構造格子を用いたスペクトル要素法による解析も実施し,相互に検証を行った.スペクトル要素法を用いた場合においても,多孔質フィンを介した流動が誘起されることで大規模な対流構造が発生し,熱輸送が運動量輸送に比して顕著に促進される非相似的伝熱促進が達成されることを確認した.また,非多孔質フィンの場合には層流となる低レイノルズ数域においてさえも,フィンの多孔性により非相似的伝熱促進をもたらす大規模な流動が生じることを明らかにした.さらに多孔質フィンの配置について,これまでに調査を行ってきたチャネル壁面に対して垂直な配置だけでなく平行な配置も検討した.フィン配置の違いにより,特に低レイノルズ数における流れ構造と熱伝達特性に差異が見られたが,平行な配置の場合においても大規模対流構造が生じ非相似的伝熱促進が達成されることを確認した. 昨年度製作した実験装置を用い,チャネル流(矩形流路:高さ20mm, 幅300mm, アスペクト比15)に対する多孔質フィン導入の効果を検証した.多孔質フィン(厚さ1mm, 細孔径2mm, 空隙率0.3)はチャネル壁面に対して垂直に,スパン方向に20mmの等間隔で配置した.数値シミュレーション結果と同様に,低レイノルズ数域においてさえも大規模な流動が生じることを確認した.また,流れ方向のスリットで構成される多孔質フィン等の異なる性状のフィンの試作を行うとともに,今後の実証試験に向けた装置の改良を行った.
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