研究課題/領域番号 |
22K14201
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
齋藤 慎平 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 研究員 (80909606)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 沸騰 / 混相流 / 相変化 / 格子ボルツマン法 / 平衡 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,沸騰過程における気泡核生成から成長,離脱といったマルチスケール現象を一貫して扱うことのできるメゾスケール数値解析法の確立にある。 2022年度においては,混相系を扱うための格子ボルツマン法についてレビューし,いくつかのモデルについて数値計算プログラムを作成し,それらの特徴を数値的に調べた。また,高速計算を実施するため,計算プログラムのMPI並列実装を行い,今年度導入したワークステーション上での計算により,並列化効率が良好であることを確認した。 密度比の異なる二相を扱うColor-gradientモデルや自由エネルギーモデルにおいて,巨視的な方程式に現れる誤差項を同定し,これを相殺するための平衡分布関数を導出した。3次元空間においては,Maxwell-Boltzmann分布について,6次までのHermite展開を用い,さらに理想状態からのずれを補正するための項を導入した。これにより,層状Poiseuille 流れで従来見られていた速度プロファイルにおける解析会のずれが修正されることを確認した。導出した平衡は速度に関する6次の項を含む煩雑な形式であるが,位相空間から中心モーメント空間に移すことにより,27の要素のうち8つのみが非零ので,かつ,そのいずれも速度成分に依存したい簡潔な形式の平衡(モーメント)となることがわかった。中心モーメントによる衝突演算は,低い動粘性係数においても高い安定性を示すことが知られており,パラメータもより広範に設定できると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
沸騰のシミュレーションで用いるべき混相計算モデルを同定し,含まれる誤差項や用いるべき衝突モデルについて明確にできたため。
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今後の研究の推進方策 |
気液混相の計算において用いるべき格子ボルツマン法のモデルを概ね定めたため,エネルギー方程式および相変化挙動を熱力学的に一貫して表現するための定式化,および,固体界面の境界条件の実装と評価を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画よりもワークステーションの価格が低くなったことから,次年度使用額が生じた。当該ワークステーションのアップグレード等に使用していく予定である。
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